英語なのに「ン」の発音というのは変かもしれませんが、いわゆるカタカナ読みをしたときに「ン」と書かれるもののことです。
たとえば、swimming (スイミング)とか can(きゃん)のことですね。
英語の「ン」の発音を学習・練習するだけでも日本語訛りを改善できると思います。
まず日本語と英語の「ン」の違いから見ていきましょう。
日本語の「ン」
早速ですが、日本語の「ン」には、6種類の音があり、それを使い分けています。
かなり驚愕する事実ですが、きっと全部同じ音だと思っていた人も少なくないと思います。
簡単にいうと、「ん」は後ろに来る文字によって発音方法が変わります。変な記号も書いてありますが、英語の辞書でよくみる発音記号なので、とりあえずは分からなくても大丈夫です。
①唇を使う[m]
②語末の[ɴ]
③舌先を歯の後ろにつける[n]
④それよりちょっとだけ口の奥で言う[ɲ]
⑤さらにそれより奥で言う[ŋ]
⑥母音の後などに言う[Ṽ]
の6種類の「ン」があります。全然わからないという声が聞こえてきそうですが、問題ありません。
日本人は上の使い分けを自然にしています。つまり日本人はそれぞれ無意識に発音ができると言うことです。
そして後で記述しますが、特に大切なのは①と③と⑤です。他の音はとりあえず無視です。
それぞれ例と一緒に見ていきましょう。
①唇を使う[m]
「ン」は口を開けても、閉じても言うことができますが、口を閉じなければ出せない「ン」がこの音です。
「乾杯」「先輩」「頑張れ」「天ぷら」「まん丸」などの言葉を声に出してみると分かります。
必ず口を閉じなければなりません。
これは「ン」の直後の言葉が、唇をくっつけなければ発音ができない音だからです。
次は口を閉じて、何か深く考え事をしているように「んー」と言ってみましょう。これは英語だったら、「mmm」と同じことです。
それが①の「ン」の音です。
特に難しいことはないと思います。
③舌先を歯の後ろにつける[n]
一時期世界的に大流行した歌の歌詞に「pen」という言葉がありました。
日本人には「ペン」と聞こえますが、よく外国の方が歌っているのを聞くと、「ペーヌッ」のように「ヌ」の音に聞こえることってありませんか。
これは簡単な理由で、英語ではペンのnはこの③の音で発音しますが、日本人は上記の、語末の「ン」と言うルール②があるので、当然違った音になってしまいます。
日本語で「ランドセル」でも「ララララ〜」でもなんでもいいので、ラ行の音を発音してみると、上の歯の裏側あたりに舌の先端が当たっている感じがしませんか。
このようにして発音するのが、この③の音です。
例えば「サンタ」や「来んな」や「スタッフオンリー」の「ン」はこれにあたります。実際に言ってみて舌先の感覚を確認してみましょう。
それでは、歯の裏にランチで食べた海鮮丼のゴマ(とっても贅沢!)が挟まってしまって全然舌で取ろうとしても取れずに悪戦苦闘しながら、「んー」と言ってみましょう。それが③の「ン」の音です。
ちなみに、その「んー」を言いながら、舌を離してみると、「ヌ」のような音が聞こえませんでしたか。それが、「ペーヌッ」の正体です。
⑤さらにそれより奥で言う[ŋ]
この「ン」は口のとても奥で発音する「ン」です。
「バカバカバカバカ〜」と何回もゆっくり言ってみてください。悪口は言いたくないと言う人は「カバカバカバカバ〜」と動物の名前を言いましょう。
すると「バ」は唇、つまり口のかなり前で発音していますが、「カ」はかなり口の奥の方で発音していることに気がつきますか。
この奥の位置がだいたいでもいいので感じることができれば、すばらしいです。
この「ン」も同じ位置で発音しています。そしてこの「ン」で大切なのは鼻から息が抜けているということなのです。
「カンカン」と鼻をつまんで言ってみると発音ができないと思いますが、これは鼻から息を出しているからということなのです。
それでは口を開けて鼻から息を出してみながら「ンー」と言ってみましょう。
これが⑤の「ン」の音です。
↓日本語の「ン」についてもう少し詳しく知りたい方はこちらから
英語の「ン」
日本語の「ン」の6種類中3種類の音を確認しましたが、めちゃめちゃ難しいということはないと思います。なぜなら、理論的には難しいまたは分からなくても、実際に音が出せているのですから。
そこで素晴らしいニュースがあります。
英語の「ン」は基本的には3種類です。日本語の半分です。しかも驚くべきことに、実はその3種類とは[m][n][ŋ]なんです。
つまり、全部日本語にもある音で、ついさっきまで確認してきた音なのです。
①唇を使う[m]
③舌先を歯の後ろにつける[n]
⑤さらにそれより奥で言う[ŋ]
しかし、カタカナが原因で、
swimmingが「スイミング」のような発音になってしまったのです。
最小で最大の効果をあげる例の一つとして、「動詞+~ing」がありますね。この発音は[ŋ](⑤のルール)なので、「ング」と言うのではなく、鼻から息を通して「スウィミン」のように言うのがアメリカの発音です。(カタカナだと再現に限度がありますが)
この3パターンがわかれば、辞書を引く時に一緒に発音の記号も見て、使い分けてみましょう。
なぜなら、みなさんはそれぞれの音を正しく発音できているのですから。
[m]なら唇をしっかり閉じて、
[n]なら舌先を歯の裏にくっつけて、
[ŋ]なら鼻から息を通して「ン」
おわりに
いかがでしたでしょうか。
日本語を利用して、英語の発音にアプローチをしてみました。
例えば、新橋も駅の表記が、「Shimbashi」であったり、英語の天ぷら表記が「Tempura」というのにもつながってくると思います。
できるだけ、簡単に書いたつもりですが、少々長くなってしまいました。
でもすこしでもわかりやすいと思っていただけたら光栄です。