今回は他の品詞と比べるとちょっとだけ影の薄い品詞を紹介します。
その名も、連体詞です。
そもそも連体詞って何?
連体詞とは名詞を修飾する品詞です。
種類は大まかに3つあり、
「ある、いわゆる、ふとした、ちょっとした」のような動詞に由来するものや、
「おおきな、おかしな、ろくな、いろんな」のような形容詞に由来するものや、
「例の、ほんの、一種の」のような「名詞+の」の形式を持つものに分かれます。
これだけです。簡単ですね。
これだけでも十分ですが、こう思われる人もいると思います。
形容詞も名詞を修飾します。形容詞と何が違うの??
説明します。
連体詞と形容詞の違い
確かに形容詞にも名詞を修飾する機能があります。
その点では、形容詞=連体詞 です。
しかし、それ以外の点で異なることが2点あります。
まず、連体詞は活用しません。形容詞は活用します。
次に、連体詞は述語になれません。形容詞は述語になることができます。
どういうことなのか例で確かめてみましょう。
動詞由来のもの
連体詞は名詞を修飾すると説明しました。
つまり、上記の「ある」は、
「冷蔵庫に卵がある。」の「ある」とは違うものです。
名詞を修飾するので、
「ある人は言いました。」のような「ある」の話です。「人」を修飾していますね。
冷蔵庫の例だと、「冷蔵庫に卵があった。」と活用させても文に何の問題もありませんね。
でも、「ある人」の例だと、
「あれ人は言いました。」???
活用したらおかしな文が出来上がりました。ということは活用はしないということですね。
次は「ある人」の意味で、述語にしてみましょう。
という文は明らかにおかしいですね。
連体詞を述語にしてみたら、おかしくなりました。
つまり、述語になれないということです。
名詞+「の」
動詞パターンと同じなので、先にやってしまいましょう。
これは正しい文ですね。
「例の」は「名詞+の」でできています。助詞も名詞もそもそも活用しません。その段階で活用しないことがわかります。
日本語で活用するのは、動詞、イ・ナ形容詞、助動詞です。その他は活用しません。
そして述語になるかどうかですが、
もおかしいですよね。
「これを言ったのは例の人です」なら正しいですが、それなら述語は名詞「人」に変わっています。
形容詞由来の連体詞も述語になれませんでした。
形容詞由来のもの
こちらが一番わかりづらいと思います。
というか私も調べていて勘違いをしていたことに気がつきました。
あとで説明しますね。
連体詞「おおきな」という言葉はとてもいい例です。
一見すると「えっ、ナ形容詞じゃないの?」と思ってしまいそうですが、連体詞です。
「大きな家に住みたいです。」は正しい文です。私も住みたいです。笑
ナ形容詞「元気な」でも文を作りましょう。
「元気な人は明るい性格です。」良い文ですね。
もし、「おおきな」がもしナ形容詞ならナ形容詞「元気な」のように活用できるはずです。
例文をみましょう。
「元気だった人は明るい性格です。」
「元気じゃなかった人は明るい性格です」
文の意味はよくわかりませんが、構造はおかしくないことが分かりますか。おかしくないことを確かめるために文をいじってみます。
「当時元気だったその人はいまではもうみる影もありません。」
「あのときは全く元気じゃなかったその人は、今では人々に元気を与えています。」
このようにすると、活用しても全く問題がないことがわかります。
では「大きな」はどうでしょう。活用してみます。
「大きだった人は・・・」
「大きじゃなかった人は・・・」
もちろんこれは「大木さん」という人名ではありません。
全部書くまでもなく、活用したらおかしくなりましたね。
つまり、活用はしないので連体詞です。
では述語の場合はどうでしょうか。
「ジョニーデップの家は大きいです。」は問題なさそうです。
即答でおかしいです。もしナ形容詞だとしても、
「元気な」は「彼は元気です。」となるように、「大きな」は「ジョニーデップの家は大きです」とならなければならず、おかしいです。
つまり、述語にならない連体詞だということがわかります。
「大きい」と「大きな」の違いは初級でも扱います。
私はこれまで、上記のような使い方の違いは教えていましたが、
「おおきな」が連体詞だという認識がありませんでした。
間違って「『大きな』はナ形容詞だよ」などと言わなくて本当に良かったです。
ブログをやっていて、授業に活かせる、または反省できるのはとても有意義です。
まとめ
形容詞との違いについて長々と書いてきましたが、最低限以下のことだけわかっていれば良いと思います。
連体詞と形容詞は違うものだよと分かっていれば良いと思います。
よって、まとめはこのようになります。
まとめてみると、大切な箇所は少ないですね。
連体詞
連体詞・・・名詞を修飾する
形容詞とは違う(連体詞は ×活用、×述語)
おわりに
連体詞を復習していて、思ったことは、「『な』がある=ナ形容詞」と考えないようにしようということです。
この形容詞由来のパターンはパッと聞くと、本当にナ形容詞だとすんなり受け入れてしまいそうになることです。
ですが、今回気づけたことは本当に良かったと思います。
なんだか日本語教師の階段を一歩登った感じです。
他の方から見たらあたりまえでも、自分で考えて自分で気付けたということを評価したいです。
参考にした本
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