言語転移と誤用②〜エラーの種類〜

前回は、大きくミステイクとエラーの違いを見ましたが、今回はさらにエラーの分類を見ていきます。

ミステイクとエラーの違い

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グローバルエラーとローカルエラー

エラーには、グローバルエラーとローカルエラーに分けられます。

それぞれ見ていきましょう。

 

グローバル・エラー

グローバルエラーとは、エラーの中でもコミュニケーションに支障があるエラーのことです。

 

グローバルウォーミング(地球温暖化)やグローバル化などという言葉からもあるように「地球規模」とか「世界」のようなイメージが持てると簡単です。

 

要は、大きいエラー=重大なエラー、間違いがあるによって伝えたいことが伝わらないエラーということです。

 

例えば、助詞の間違いによるがあります。

「宝くじが当たりましたから、お店買いに行きました。」

上記の例では、この発話者は、お小遣い程度の金額が当たったので買い物に行ったというニュアンスでも、相手には大金が当たって、店でも買収してきたのように誤って伝わってしまいます。

これがコミュニケーションに支障をきたすエラー、グローバルエラーです。

 

ローカル・エラー

ローカルエラーとは、グローバルエラーとは反対に、コミュニケーションに支障がないエラーのことです。

 

ローカルは、ローカル電車やローカル番組などというように、「地元」や「地方」というイメージです。

 

ですから、グローバルエラーとは反対の、小さいエラー、つまり間違いがあっても伝わるエラーのことです。

 

「昨日、友達と遊びます。」
「昨日、図書館本を借りました。」

上記の例では、「ました」を「ます」、「で」を「に」と言っており、文法的には間違っていますが、正しい意味が伝わらないほどのエラーではありません。これがローカルエラーです。

言語間エラーと言語内エラー

また、エラーは誤用が起きる原因によっても分類されます。

言語間エラー言語内エラーです。

 

言語間エラー

母語が原因で起こるエラー言語間エラーと言います。

 

英語が母語の人の場合、英語がわかるからこそ起こってしまうエラーのことです。

 

有名な例だと、英語で「play」は「遊ぶ」という意味から、「I play a piano」を日本語で言いたいとき、「ピアノを遊ぶ」と言ってしまうのような例があります。

これは、「弾く」という言葉ではなく、「play」の訳語「遊ぶ」をそのまま当てはめてしまっています。

 

このように母語が原因で起きてしまうエラーを言語間エラーと言います。

 

例のように英語と日本語の間で起こる、2つの言語の「間」を行き来する際のエラーなので、言語間エラーと覚えましょう。

 

言語間エラーは負の転移によって起こります。

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言語内エラー

母語に関係なく起こってしまうエラーのことを言語内エラーと言います。

 

勉強する過程で発生するエラーだと考えると理解しやすいかなと思います。

例えば、日本人なら、英語の三単現のsをつけ忘れたり、過去形にするのを忘れるようなものです。

これは日本語が話せるから起こるエラーではなく、中国語や韓国語の話者でも起こるエラーだと思います。

 

母語に関係ない、つまり、目標言語の1つの言語の「内」だけで起きるエラーなので、言語内エラーと覚えましょう。

言語内エラーの具体的な例として、過剰一般化(過剰般化簡略化というのがあります。

過剰一般化

過剰一般化とは、ある規則をその規則があてはまらない他のものにまで当てはめてしまうことです。

 

簡単にいうと、ルールのゴリ押しです。パワープレイです。

 

ナ形容詞の否定を作る「〜じゃない」を他の言葉に当てはめて、「おいしいじゃないです」「楽しいじゃありません」と言ってしまうのが過剰一般化の例です。

 

過剰般化という言い方をすることもあります。

簡略化

簡略化とは、わかりにくいものは、簡単にしましょうということです。

 

助詞の省略がその例です。

「私 スキー 行きます。」

助詞は学習者にとって非常にややこしいです。

ややこしいなら、言わなきゃいいじゃんというのが簡略化です。

 

上の例では簡略化しても意味は通じます。しかし、次の例はどうでしょうか。

「私 両親 スキー 行きました。」

「私」と「両親」に助詞を補ってみます。

? 「私 両親 スキーに行きました。」
? 「私 両親 スキーに行きました。」

このように簡略化はグローバルエラーに繋がることがあります。

簡略化は正しく使うと便利なのですが、学習者が過剰に使ってしまうと、エラーの原因になってしまいます。

まとめ

〜まとめ〜
<グローバルエラーとローカルエラー>
 グローバルエラー:コミュニケーションに支障が出る重大なエラー
 ローカルエラー:コミュニケーションに支障がない些細なエラー
<言語間エラーと言語内エラー>
 言語間エラー母語が原因のエラー
 言語内エラー母語に関係なく起こるエラー
  ・過剰般化
  ・簡略化

おわりに

今回はエラーの種類についてみてきましたが、いくつも種類がありました。

会話の際、当然グローバルエラーは気になりますが、教師として大切なのは、ローカルエラーをどう扱うかだと思います。

意味はわかるのだからストレスを与えないように無視するのか、将来のためを思って指摘するのか、場面や状況によって変えていくなどあります。ただし、これはどれが正しい方法なのか、正解はありません。

普段から学生と交流をして、そうするべきか模索していくしかないのかなと思います。

こういうところが日本語教師の難しいところの1つだと思います。

 


参考にした本


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