新・教授法⑦〜ヒューマニスティックな教授法〜

前回はナチュラルアプローチについて見ていきました。

時代はほんの少し戻ってしまうのですが、今回4つの教授法を見ていこうと思います。

これらはオーディオ・リンガル・メソッドの批判から生まれ、ヒューマニスティックな教授法という名前で呼ばれています。

ヒューマニスティック、つまりヒューマン(人間)的な教授法ということなのですが、これはオーディオリンガルの単調な口頭練習に楽しさややりがいを感じられない人がやはり多かったのだと思います。だからもっと楽しんでやろうよとか肩の力を抜いて勉強しようといった心理的、人間的側面を重視した教授法です。

具体的に、サイレント・ウェイ、コミュニティ・ランゲージ・ラーニング、TPR、サジェストぺディアの4つです。

ではそれぞれ見ていきましょう。

もくじ

サイレント・ウェイ

サイレント・ウェイは心理学者のガッテーニョが提唱した教授法です。

サイレントという言葉にあるように「話さない」のです。話さないのは教師です。学生ではありません。

教師が話すと、学習者の知性が抑えられ、十分に発揮できないからです。この時代はすでに学習者主体なので、この考えも納得できます。

話さないのにどうやって導入するのか・・・。それはロッドカラーチャートのような独自の教具を使います。

ちなみに私はサイレント→無口→話さない→口が堅い→くちがカッテーニョと覚えました。

コミュニティー・ランゲージ・ラーニング

カタカナでは長いです。英語の頭文字をとって、CLLということもあります。

これは心理学者カランが提唱した教授法です。

キーワードは「カウンセリング」です。

教師のことをカウンセラー、学習者のことをクライアントと呼び、学習はその相互作用の中で起こり、初めは教師に依存している状態から完全に独立した状態へ成長していくと考えます。

授業では、投入と内省の2段階で行われ、投入では、輪になって座りテーマについて目標言語で話をして、内省では振り返りどのように感じたかなどを母国語で話します。

ここでも安心感が大切になってきます。

これらすべてを一言でまとめると、カウンセリング以外見つからないと思います。

ちなみに私はカ行が多いなと覚えました。

ランにミュニティランゲージラーニング、ウンセリングは全てカ行で始まっています。

TPR

TPRはトータル・フィジカル・レスポンスの頭文字で全身反応教授法とも言います。

これは心理学者のアッシャーが提唱した教授法です。また心理学者ですね。

この教授法は幼児の言語獲得にヒントを得ました。ナチュラル・メソッドに共通するものがありますね。

母親がやさしく話しかけると幼児は体で反応して行動することが多いそうです。

命令を指示して、その命令に従って行動ができたら理解していることになります。これがTPRの考え方です。

「立ってください」といって相手が立てたら理解していることに他なりませんよね。

また幼児はすぐに話せるわけではありません。話す前に話す準備としての聞く期間というものがあります。

TPRの授業では同様にその期間である沈黙期(サイレント・ピリオド)が保障され、話すことは強要されません

体で反応して理解を示す。これがTPRです。

英語が得意な人はTPRで十分に覚えられますが、苦手な人は非常に覚えにくいです。どうしてこれだけアルファベットやねんと突っ込みたくなります笑

どうしたら覚えられるか考えてみたのですが、TPRつまり、「T(体・タイ)で理解をPRする」と覚えるのはどうでしょうか。

サジェストぺディア

サジェストペディアは精神科医のロザノフが提唱しました。

まさかのお医者様のご登場です。

暗示学というものを外国語教育に応用しました。

厳密には違うと思うのですが、「催眠術」のようなものをイメージすればわかりやすいと思います。

サジェストペディアはストレスや不安は人間の能力を制限するもので、それは除去すれば学習は飛躍的に高まると考えます。

まあ結局のところ、とにかくリラックスさせようというものです。

簡単にいうと、環境と音楽です。

クラシック音楽を流したり、心地いい教室作りをします。椅子・観葉植物、色合いなどにも配慮します。

サジェストぺディアの授業は大きく3つのパートに分かれます。

プリセッション、セッション、ポストセッションです。

プリセッション

プリセッションでは簡単にセッションの準備段階で、会話の導入や不安を取り除くために学習者が不安なことを質問をしたりします。

セッション

このセッションはサジェストペディアの真髄です。赤本にはここの箇所のことが書いてあります。

このセッションはさらに前半と後半に分かれます。

前半では、学習者はリラックスした状態で、教師は学習者のゆったりした呼吸に合わせて会話を読みます。後半ではクラシック音楽に合わせて教師は印象的で心に訴えるように読みます。

この前半をアクティブ・コンサート・セッション、後半をパッシブ・コンサート・セッションと言います。まさにコンサートにいるような感じだからこのような名前がついたのかなと思っています。

ポストセッション

ここでは一般的な練習をします。

読解や翻訳、歌やゲーム、ロールプレイなどいろいろなことをするようです。

まとめ

まとめるとこのようになります。

〜ヒューマニスティックな教授法〜

①サイレントウェイ
 ガッテーニョ
 教師が話さない
②コミュニティ・ランゲージ・ラーニング
 カラン
 カウンセリング
③TPR
 アッシャー
 全身で反応する
④サジェストぺディア
 ロザノフ
 リラックスして暗示する

おわりに

ヒューマニスティックな教授法はいかがでしたか。

この回の教授法は他のものとかなり異なっているものが多いです。言語学者が考えたようなものではなく、人間を扱う心理学者が多く関わっていたので、今までの教授法とは違っていました。

かなり違っていたからこそ、意外に覚えやすいところでもあると思います。

また心理学的なものが多く登場してきたからこそ、このあとにリラックスも大事だというナチュラル・アプローチにつながっていくという流れもおさえておいてもいいかもしれません。

今回で教授法の書き直しバージョンが終わりになりますが、少しでもわかりやすいとってもらえるよう書いたつもりです。そう思っていただけたら幸いです。


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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