記憶力が悪くても日本語教育能力検定試験に合格できた勉強法の紹介

日本語教育能力検定試験って難しいですよね。

最近は高くなってきているとはいえ合格率は30%弱。

大学受験とは違ってさまざまな年代が受けるからこそ私の年代じゃ記憶力も悪くて始める前から諦めモードに入ってしまいそうな方はいませんか。

そのような方でも大丈夫です。

魔法のような勉強法ではありませんが、作戦次第では合格の確率を大きく高めることができると思っています。

そこで私が日本語教育能力検定試験に合格するための勉強法を紹介したいと思います。

まずは記憶力の誤解についてお話ししたいと思います。

*今回かなり長くなってしまいました。できるだけ自分が考えていたことをていねいに書くことをした結果です。その点をご了承ください。

もくじ

そもそも本当にあなたは記憶力が悪いのか

受験やテストのときにいろいろな人と話すとよく耳にするのが、

「私は記憶力が悪い方だから、、、」

という言葉です。誰もが一度は口にしたことがある言葉かもしれません。

そんな方って

「あのとき会ったあの人の顔は思い出せるけど名前が思い出せない」

「2日前に食べた晩ご飯のメニューを思い出せない」

「買い物で買うべきだった白菜を買い忘れてしまった」

「テスト勉強はたくさんしたけど、全然いい点数が取れなかった」

のようなことって多くないですか。私も心当たりがあります。

そんなあなたにいいニュースです。

上記の例に当てはまるようなあなたは記憶力は悪くありません。安心してください。

なぜでしょうか。

大きく簡単に「記憶力」を2つに分けてみると、

「頭の中に入れること(インプット)」と「思い出す力(アウトプット)」とに分けられます。

本当はいろいろな過程を経ているのですが、ここでは省きます。(ここでは省きますが、日本語教育能力検定試験の試験範囲ですよ)

 

[sitecard subtitle=記憶の過程をくわしく url=https://tak-japan.com/kioku/ target=]

 

私たちって実は1つめの「頭の中に入れること」って案外できているんですよね。

ということは記憶力がないと思わせる原因が「思い出す力」が不足しているからなんです。

顔は覚えていて、名前を忘れてしまったというのは間違いです。顔と名前が頭に入っているはずなのに名前だけ思い出せずに顔は思い出せる。そして名前を聞くと、「ああ、そうだった、わすれててごめんなさい」となるわけです。

2日前の晩ご飯のメニューも買い忘れた白菜も、何かがきっかけとなることで「ああ、そういえばそうだった」と思い出すことはよくあります。それはつまり、頭には入っていたけれど、ただ単に思い出せないだけだったということです

典型的なのはテストの例です。先生がテストを回収して休憩時間に答えが気になって教科書を確認する学生っていますよね。そして必ず、「ああー、しまった」という声が聞こえてきます。答えは彼の頭の中にあったのです。ただ答えが頭から引き出せなかっただけなんです。。

本当に頭に入れることができなかったら、「ああ、しまった」とはなりません。まるで食べたばかりのご飯を「わしは飯なんて食っとらん」と言うおじいちゃんのように「こんな用語は勉強してない。わかるわけがない」となりますよね。

このように私たちは案外「頭に入れること」はできています。しかし「思い出す力」は弱めな人が多いです。よって、日本語教育能力検定試験の勉強に一生懸命知識を頭に入れることしてはいけません。「知識を思い出す力」をきたえるように勉強をしていく必要があるわけです。

ちなみに当ブログを読んでくださっている方は気付いているかもしれませんが、ちょこちょこ登場する漢字から用語の意味を推測することや語呂合わせのようなことは思い出しやすくする1つの作戦だったりします。

基本的な作戦

記憶の誤解を解いたところで、私がどう作戦を立てたのか説明していきます。

大きく2つのパートに分けて勉強方法も分けました。

「試験Iと試験III」と「試験II」に分けてそれぞれ勉強していきました。

その理由は「試験IとIII」はおおまかに知識型の問題で、「試験II」は実践型の問題だからです。

かといってやることは大きくは変わりません。

基本は 知識を頭に入れる→思い出す練習をする の繰り返しです。

まずは試験IIについてみていきます。

試験II(音声)の勉強の流れ

試験IIは一度問題を見たことがある人ならわかりますが、音声を実際に聴きながら答える問題です。

多くの人が得点源にしていることから絶対に落としたくないところですが、勉強を始めたばかりの人にはまったくそうは思えません。

「日本人だから、余裕っしょ」などとなめてをかかると、タンスの角に小指をぶつけるより痛い目に遭います。

試験IIは聞こえた音声を知識を基に正しい選択肢を選びます。

知識がそのまま答えにはならないため、答えを導き出す練習を中心に行うが必要になります。これはつまり、知識があることが前提であり、知識がなければスタートラインにも立つことが許されないということです。

よって、まず知識を入れます。そのまますぐに入れた知識を使う問題を解いてアウトプットします。

今日は覚えて、問題は明日にするのではなく、今日覚えて今日解く、スピードを重視しました。

問題を解くことで、自然に知識を思い出す訓練にもなっています。

間違えた問題はどうして間違えたのかをしっかり考えて、知識がないのが原因ならインプットに戻り、知識を入れ直したらまた問題に戻るのようにインプットとアウトプットを行ったり来たりします。

音声に関しては私はこれだけです。

独り言でアクセントを考えたりなどはやりましたが、勉強らしい勉強はこれだけです。

ポイントは知識を入れることにはあまり時間をかけず、アウトプットに思いっきり時間を使うことです。

そして慣れるまではできるだけ同じ問題を繰り返して解くことです。

試験IIの問題はとにかくテンポが大事です。どんどん音声が読まれるので、少し考え込んでしまったら、次の問題にすぐにすすんでしまい、焦ることになります。一度焦ると、、、、これ以上は恐ろしいので書けません。

そこで、同じ問題を解くことで

①ゆっくり時間をかけて考えながら確実に答えを出せるようする
②同じプロセスを何度も反復することで、すこしずつ①の時間を短縮する

という狙いがあります。

たとえどんなにプロ野球選手でもも、いきなり140キロは打てないと思います。まず90キロ、100キロそして120キロと徐々にステップアップしていくのと同じです。

 

この本は私が実際使った問題集として紹介しました。

解説は少なく残念だったのですが、問題の量は十分で粘り強く考えるのが得意な方は向いていると思います。

[sitecard subtitle=参考書と問題集の記事です url=https://tak-japan.com/books-i-used/ target=]

 

音声の勉強を始める時期の目安

それじゃあいつから対策を始めるの?ということですが、

試験IIの対策はできるだけ早めに始めるといいです。

もちろんすぐに点が取れるようになる人もいます。1ヶ月で十分だと言った人もいました。しかし、個人差がありますし、得点源にする人が多いので苦手な人は早めから対策をするのが無難でしょう。早めに得意分野にしておくと、試験が近づいてきてもプレッシャーになりにくいです。

また音声の問題ということもあり、他の勉強とは違い、知識が頭に入っていれば実際に口を動かすだけでできますから、通勤や食事などの時間など隙間時間にすることができるのが強みです。・・・食事の時はやっぱりやめておいた方がいいかもしれません。笑

ちなみに私は歩いている時に目に入った文字のアクセントを頭で確認しながら歩いていました。「三省堂書店」という文字が目に入ったら、「サ・ン・セ・イ・ド・ウ・ショ・テ・ン」と心の中でつぶやきながら歩いていました。

私は本番1ヶ月半ぐらい前から毎日問題を解き始めました。1ヶ月半前というとギリギリと思うかもしれませんが、本格的に始めたというだけです。知っている方もいると思いますが、そのとき私は2回目の受験でもあり、本格的に始めたのは1ヶ月半というだけで全く勉強していなかったわけではないからです。

始める時期が1年前だろうが、1ヶ月であろうが、大切なのはインプットに時間をかけず、アウトプットを入念にということです。

試験IとIIIの勉強の流れ

試験IとIIIは選択問題です。

こちらは知識を頭に入れるインプットをじっくり行いました。

日本語教育能力検定試験の対策本をみるとわかるように試験IIのページ数に比べ、試験IとIIIのページ(音声以外)は圧倒的に多いです。

量が多いので本気で覚えようとしても全部の範囲を終える前にこちらのやる気がなくなっていたり、昨日頑張って覚えたはずのページの内容が全然思い出せないということはあるあるです。とても悲しいことです。

そこで私が取った作戦は簡単です。覚えようとしないことです。

量が多いので、読書感覚でスーっと読んでいきます。わからなかったら、とりあえずその箇所は飛ばしてしまってかまいません。

ただし、何周も繰り返して読みます。何周も繰り返して読んでいると前読んだときここちょっと飛ばしてしまったからちょっと注意深く読んでみようと心に少し余裕ができていることが多いです。

繰り返しますが、ポイントは覚えようとしないことです。

覚えよう=やる気の低下

につながります。みんながそうというわけではないですが、私はそうです。

記憶のところでも書きましたが、案外頭に入れることはできるものです。

何周も読んでいると「あっ、ここ読んだことある」とか「これは確かオーディオ何とかメソッドだった」のようなことが増えてきます。

そもそも「前に読んだ時ここは飛ばしたから今回は注意深く読もう」なんて覚えてないとできない芸当ですよね。

覚えないといけない知識が多いからこそ、覚えようとしないでじっくり気楽に何回も読み込んでいきましょう。

ある程度長期間かけて何周も読み込むと「この用語の意味はこんな感じだったはずだ」というなんとなくわかる段階までやってくるはずです。

こうなってくると後はしっかりアウトプットするという作業に移行してもいいと思います。

問題を実際に解きながら、曖昧ながら頭にある知識を確実により鮮明になるよう近づけていきます

ちなみに私がやっていた勉強方法に慣れていない人は目安がないと不安を感じてしまうかもしれないので、私の例を書いておきます。

赤本で知識を入れ、なんとなくこんな感じだとわかってきて、初めて問題集の問題を解いて自己採点すると、7、8割取れるんじゃないかと想像されるかもしれませんが、違います。実際は2、3割程度です(本番1ヶ月前)。

問題集を初めて解くと、私の場合だいたい2、3割ぐらいの正答率から始まります。(本番約1ヶ月前なのに)

私の場合は時間があったので、毎日同じ問題を繰り返し、繰り返し解いていきました。

すると、2、3周目で4割くらいに正答率が上がります。この採点をしている際に、たとえ間違えた問題でもそう言えばこの前この解説を読んだのにどうして間違えたのだろうかと反省できる問題が徐々に増えてきます。開始が正答率2、3割ということもあり、正答率があがるとそれだけでもうれしくなりますし、このさっき読んだのにどうしてできなかったんだという悔しい経験がどんどん定着させてくれます。

これを繰り返していくことで、本番1週間まえには7割くらい取れるようになっていました。三日前に本当にどれくらいできているのか確認するために私は過去問を使ったら、7割から7割5分自己採点で取れました。

そうなんです。私の合格はぶっちぎりで合格ではなく、ギリギリの合格だったのです。

だからこそ、日々忘れていっている知識を思い出しつつ、再び勉強しながらアウトプットしているんです。

少し脱線してしまいましたが、とにかく初めは全然正答率がなくても大丈夫だということが言いたかったのです。

 


これは安定の問題集でしょう。他には以下のように過去問や赤本の各部ごとの確認問題も役に立つと思います。

効率を少しでも高めるヒント

試験IとIIIについて書きましたが、試験IとIIIってかなり範囲が広いですよね。

ほんのちょっとだけ私が考えていたことを書こうと思います。

実は試験IとIIIについて、さらに2つに分けることができます。

それは「考えたら解ける問題」と「考えても解けない問題」です。

前者は自分の持っている基礎的な知識を組み合わせることで答えを導ける問題で、時間をかければ高確率で正答できる問題です。

後者は知識がないと解けない問題です。一回問題をみてわからなかったら何時間かけても解けません。

この分類について、私はしっかり研究としたわけではないので、自信をもっておすすめはしません。

しかし、私は文法問題は前者の形式が多いような気がしたので、文法の概要をしっかり頭に入れたら、あとは後者の問題のために時間を使っていました

じっくり考えたらその場で解ける問題のために貴重な時間をさくのではなく、考えても解けない、知らなければ解けない問題のために時間を使う。この優先順位というのも自分の中で決めてあげると、効率はよくなると思います。

試験IとIIIの勉強を始める時期の目安

テスト直前に毎日ある程度時間が取れるのであれば2ヶ月前くらいには問題を解くアウトプットに移行してもいいと思います。

それまではのんびりインプットを進めていくという方針で飽きたら問題を解いてみてもいいと思います。

私は1ヶ月半くらいまえに本番形式の問題をアウトプット中心に切り替えてそれまではインプットを中心にしていました。

インプットに飽きてきたら赤本付属の一問一答を解いていました。

上記の方法で結果が出るのがギリギリで不安というかたはもっと早めに移行するのもいいです。ただし、早く移行しすぎると、ストレスになってしまい、本番直前で心が折れてしまうということがないように気をつけてください。特に勉強が苦手な方は。

とにかく始める時期にかかわらず、本番が近づくにつれてアウトプット中心にすることを忘れないでください。

記述問題の対策

正直な話、記述対策はどのようにしていいのかわからなかったのが印象です。採点基準などわからなかったからです。

毎年出題される問題として、とある問題が発生しその問題に対してどう対処するか、どう解決できるようにアドバイスするかというような問題が出されています。解答は400字程度です。具体的な用語ついて言及しながら説明しなさいなどという前置きもあることもありますが、基本的には対応策やアドバイスが聞かれます。

問題の引用も禁止されているので、過去問を持っている人は確認してみてください。赤本でも類題があるので、傾向はわかります。

どんな問題が出るかなんとなく把握したところで、私が取った作戦は、2つのあることに気をつけるということです。

常識論理と構造です。

まず、常識について

対応やアドバイスを聞かれるということは答えは1つではありません。つまり基本的には何を答えても間違えではありません

もちろん、騒がしい学生が毎日騒いでクラスが進まない時、どうすればいいのかのような問いがあった(こんな問いは100%でないでしょうが)として、解答に「両手に水がいっぱい入ったバケツを持たせて廊下に3時間立たせます。」のような解答は教師でなくとも常識的におかしいとわかります。

このような意味で常識から外れすぎないように書く。これを1点目として注意していました。

もうひとつは論理と構造です。

これが1番大切だと思います。

400字で論理的な文章を書くので、自分の意見や主張を正しい論理構造、正しい日本語でできるだけ書くということです。

構造は基本は

自分の主張→→→根拠や例を挙げる→→→もう一度主張を繰り返す

主張のパンでおいしい具材の根拠や例を挟むサンドイッチ構造を心がけました。

400字なので、根拠や例は2つでいいのかなと思います。

次に、

主語と述語の対応、話し言葉と書き言葉の区別、文体を揃えるなど並べていくとキリがありませんが、日本語にも気をつけていきます。

記述では満点を取りにいくというよりは減点をできるだけ避けるというのが私が考えていたことです。

記述については正直書こうか迷いました。

記述の講座を受けたわけでもなかったからです。もしかしたらこれは違うよと思う方もいるかもしれません。

しかし、私がこの2点を実際気をつけていたというのは紛れもない事実なので、書こうと決めました。

まとめ

長々と書いてきましたが、まとめておきます。

まとめ

全体として・・・インプットよりアウトプットを十分に行うこと
試験II・・・インプットを少ししたらすぐにアウトプット
試験Iと試験III・・・覚えようとせずにじっくりとインプット、
本番が近づいてきたらアウトプットを中心に切り替える

記述問題・・・常識と論理構造をしっかりと

おわりに

いかがでしたか。

長くなってしまいましたが、参考になれば嬉しいです。

勉強の作戦ということでしたが、今日説明したことは一例に過ぎません。

試験というのはどんな方法でも合格してしまえばいいんです。もちろん不正行為は除いて。

自分に合ったやり方、合わないやり方というのは必ず存在するので、もし私の作戦が合えばぜひ採用してやってください。

みなさんが合格できますように!!

 

 

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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