態(ヴォイス)⑤〜可能〜

今回は可能です。

可能と聞くと、それならわかるよ簡単だよと思ってしまいがちです。

日本語話者だからこそ気をつけなけらばならない用法があります。

気をつけて見ていきましょう。

もくじ

可能の意味

可能は使役や受身などの他の用語と比べると、日常でもよく使う言葉だと思います。

だからこそ、可能は「できる」の意味でしょと単純に思ってしまいます。

もちろんそうなのですが、可能には2つの意味があることを知っておく必要があります。

それが、能力可能状況可能です。

能力可能

能力可能とは能力があるからできるという意味です。一般的に可能と聞くと頭に浮かぶのはこの意味方だと思います。

・ギターが弾けます
・英語が話せます
・背泳ぎで100m泳げます
これらが能力可能です。
練習・訓練によってできるよということです。
非常にシンプルです。

状況可能

一方、状況可能というのは状況によってできる、つまり能力は関係なく、周りの環境に影響されるという可能です。

例文をみてみましょう。

・身長120cm以上の子供はこの乗り物に乗れます
・うるさくて寝られない
・緊張して話せない
乗り物に乗れることは能力ではないですよね。
また、緊張で話せないことや寝られないことを話す能力や寝る能力がないと考える人もいないと思います。
つまり、する能力があるという意味ではなく、何かしらの原因があってできないという意味が状況可能です。

可能の作り方

可能は1グループは語幹に「eru」、2グループに語幹に「rareru」をつけます。3グループは「できる」と「来られる」です。

例えば、1グループの動詞の「行く(ik-u)」や「飲む(nom-u)」は「行ける(ik-eru)」「飲める(nom-eru)」のようになり、2グループ の動詞の「食べる(tabe-ru)」や「寝る(ne-ru)」などは「食べられる(tabe-rareru)」「寝られる(ne-rareru)」となります。

語幹のように難しく考えてしまうと混乱してしまうそうですが、これも使役や受身のときのように母語話者なら形をもうすでに知っているので、そこからルールを見つければ、忘れてしまっても大丈夫です。

可能の注意点

可能を作る際には少し注意することがあります。

無意志動詞

可能の作り方がわかったといっても、すべての動詞が可能の形を作れるとは限りません

窓が開かれる。
雨が降られる。
のような例文は意味がおかしいことがわかります。これは可能にできない動詞だからです。
可能を作ることができない動詞は無意志動詞と呼ばれます。無意志動詞とは自然現象のような人の意志の動作に関わらない動詞です。
母語話者にとっては無意志動詞で可能を作ると、文脈または意味的におかしくなるのですぐに分かると思います。

ら抜き言葉

このら抜き言葉こそ、母語話者が気をつけるべきことだと言えます

ら抜き言葉とは簡単に、可能の動詞の「られる」の部分の「ら」が抜け落ちてしまうことです。

・今空いてる?時間あったら、ちょっと来れる
・実は辛いものが苦手で、全然食べれないんですよ。
・やばい、明日始発なのに全然寝れない
のようなものです。どうですか、違和感を感じましたか。
最近ではこのら抜き言葉が認知されていきいるということも聞きますが、文法という点では「れ」を抜かない「られる」で教える方が安全です。
ちなみにこのら抜き言葉は2グループの動詞でよく起きます。
もしら抜き言葉で話すのに慣れてしまっている方は「られる」も使えるように練習した方がいいかもしれませんね。
私も気を抜くと、「ら」が抜けてしまいます。しかし、慣れてくると日本人と話すときも「られる」「られる」と自然と出てしまうというのも日本語教師あるあるだと思います。

その他の注意点

あとはその他として可能で気をつけたいところを見ていきます。

可能は目的語に「が」をとることが多いですが、「を」も使うことができます。

漢字書けます。
漢字書けます。
そして、可能の動作をする人を「に」で表すこともできます。
できないわけがないでしょう。

まとめ

可能をまとめると以下のようになります。

〜可能のまとめ〜
可能の意味
能力可能
状況可能
可能の注意点
無意志動詞には接続なし
ら抜き言葉に注意
など

 

おわりに

可能は母国語話者だからこそ間違えやすい要素があるちょっと面白い文法でした。

私が初めて養成講座で模擬授業をしたのがこの可能の課でした。

状況可能はもちろん、知らないことばかりでした。

座学で分かった気になっていても、実際に言葉にするのはとても大変だったことを覚えています。

日本語教育能力検定試験も同じで、分かった気になっていても、本当に問題は解けるの?説明はできるの?と問いかけ、実際にやってみてください。

本当に理解しているのかの助けになると思います。


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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