前回は、大きくミステイクとエラーの違いを見ましたが、今回はさらにエラーの分類を見ていましょう。
グローバルエラーとローカルエラー
エラーには、グローバルエラーとローカルエラーに分けられます。
それぞれ見ていきましょう。
グローバル・エラー
グローバルエラーとは、エラーの中でもコミュニケーションに支障があるエラーのことです。
グローバルウォーミング(地球温暖化)やグローバル化などという言葉からもあるように「地球規模」とか「世界」のようなイメージが持てると簡単です。
要は、大きいエラー=重大なエラー、つまり間違いがあることによって伝えたいことが伝わらないエラーということです。
例えば、助詞の間違いによるがあります。
「宝くじが当たりましたから、お店を買いに行きました。」
上記の例では、この発話者は、『お小遣い程度の金額が当たったので買い物に行った』というニュアンスを言いたくても、相手には『大金が当たって、店でも買収してきた』のように誤って伝わってしまいます。
これがコミュニケーションに支障をきたすエラー、グローバルエラーです。
ローカル・エラー
ローカルエラーとは、グローバルエラーとは反対に、コミュニケーションに支障がないエラーのことです。
ローカルは、ローカル電車やローカル番組などというように、「地元」や「地方」というイメージです。
ですから、グローバルエラーとは反対の、小さいエラー、つまり、間違えても伝わるエラーのことです。
「昨日、友達と遊びます。」
「昨日、図書館に本を借りました。」
上記の例では、「ました」を「ます」、「で」を「に」と言っており、文法的には間違っていますが、正しい意味が伝わらないほどのエラーではありません。これがローカルエラーです。
言語間エラーと言語内エラー
また、エラーは誤用が起きる原因によっても分類されます。
言語間エラーと言語内エラーです。
言語間エラー
母語が原因で起こるエラーを言語間エラーと言います。
英語が母語の人の場合、英語がわかるからこそ起こってしまうエラーのことです。
有名な例だと、英語で「play」は「遊ぶ」という意味から、「I play a piano」を日本語で言いたいとき、「ピアノを遊ぶ」と言ってしまうということがあります。
これは、「弾く」という言葉ではなく、「play」の訳語「遊ぶ」をそのまま当てはめてしまっているから起こっているエラーです。
このように母語が原因で起きてしまうエラーを言語間エラーと言います。
例のように英語と日本語の間で起こる、2つの言語の「間」を行き来する際のエラーなので、言語間エラーと覚えましょう。
言語間エラーは負の転移によって起こります。
言語内エラー
母語に関係なく起こってしまうエラーのことを言語内エラーと言います。
勉強する過程で発生するエラーだと考えると理解しやすいかなと思います。
例えば、日本人なら、英語の三単現のsをつけ忘れたり、過去形にするのを忘れるようなものです。
これは日本語が話せるから起こるエラーではなく、中国語や韓国語の話者でも起こるエラーだと思います。
母語に関係ない、つまり、目標言語の1つの言語の「内」だけで起きるエラーなので、言語内エラーと覚えましょう。
まとめ
<グローバルエラーとローカルエラー>
グローバルエラー:コミュニケーションに支障が出る重大なエラー
ローカルエラー:コミュニケーションに支障がない些細なエラー
<言語間エラーと言語内エラー>
言語間エラー:母語が原因のエラー
言語内エラー:母語に関係なく起こるエラー
おわりに
今回はエラーの種類についてみてきましたが、いくつも種類がありました。
会話の際、当然グローバルエラーは気になりますが、教師として大切なのは、ローカルエラーをどう扱うかだと思います。
意味はわかるのだからストレスを与えないように無視するのか、将来のためを思って指摘するのか、場面や状況によって変えていくなどあります。ただし、これはどれが正しい方法なのか、正解はありません。
普段から学生と交流をして、そうするべきか模索していくしかないのかなと思います。
こういうところが日本語教師の難しいところの1つだと思います。
参考にした本
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