自発というのは受身や可能などと比べるとそれほどよく聞くものではない印象を受けます。参考書によっては載っていなかったりもします。
私は学校で「受身、尊敬、自発、可能」と何度も唱えたことを覚えています。同じような人もいるかもしれません。
自発として扱うことはそこまで多くないですが、しっかり見ていきましょう。
自発とは
自発とは、その名の通り、「自」然に「発」生することです。
自然に発生するものとは、ある動きや感情や思考です。
自然に発生するので行為者の意志とは無関係です。
・ドーム内の歓声が外からでも聞こえる。
・昔の記憶が思い出される。
こういったものが自発の動詞です。
耳を澄まさなくても、自然と聞こえてくる様子が伝わるかと思います。
自発の形
自発には受身や可能のように、自発形のような活用する形はありませんが、動詞の形変えることで自発の意味を持たせたり、そもそもの動詞が自発の意味を持っている場合があります。
3パターンあるので、おさえていきましょう。
①そもそも自発の意味を持っている動詞
上に挙げた「聞こえる」の他にも「見える」があります。
②受身にして自発の意味を持たせる動詞
これは受身にすることで自発の意味になるものです。
「思い出す」「思う」などはよく使われると思います。
動詞だけに注目していると、気づかないので文脈に注目しましょう。
・写真を眺めていると、当時の記憶が思い出される。
③可能にして自発の意味を持たせる動詞
これは可能にすることで自発の意味になるものです。
「笑う」「泣く」などがその例です。
・あの映画の結末は泣けました。
注意点
自発は似ている動詞があり、学生への意味の説明が難しいことが多いです。
例えば、「見える」と「見る」と「見られる(可能)」がその例です。
学生にこれは自発だよと説明してもわかりません。
例文やイラストや状況などを上手に使って説明する必要があります。
ちなみにどのように説明するかわたしなりの最低限の説明ですが、このようにします。
近い場所にある文字と遠くにある文字を学生に順番に読ませます。
(近い文字を見せて)
「〜さんは〜を見ました。近いですから、見えました。見えましたから、読めました。」
(遠くの文字を見させて)
「〜さんは〜を見ました。遠いですから見えませんでした。見えませんでしたから、読めませんでした。」
また水族館の例を出して、
「水族館に行ったら、魚が見られます。大きい魚や小さい魚もいます。小さい魚はとても小さかったですから、見えませんでした。大きい魚は体調が悪かったですから、休んでいて見られませんでした。」
例文を言うだけではなく、状況を説明しながら複数の例文を与えていくと理解してもらえる可能性はあがります。
他にもいろいろ例を探してみるのもいいかもしれません。
まとめ
自発をまとめるとこのようになります。
<自発>
「自」然に「発」生し、行為者の意志とは無関係
<自発のパターン>
①そのまま自発の動詞・・・「聞こえる」「見える」
②受身にして自発・・・「思い出す」「思う」など
③可能にして自発・・・「泣く」「笑う」など
おわりに
自発はあまり扱いがそこまで多くないと最初に言いました。
扱われないこともあるというのは、自発には自発形という形がなく、可能や受身の形を使っているのが理由の一つだと思っています。
扱いが少ないですが、学生にとっては、これ可能の形なのに可能の意味じゃないの?となってしまいややこしいものです。
しっかりおさえておきましょう。
参考にした本
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