今回は文法訳読法の説明をしていきます。
教科書などではあまりページ数を使っていることはない印象ですが、最初に学ぶ教授法ということで大切な要素がしっかりと詰まっていると思います。
また教授法を流れで見るときにも大切なので、しっかりとみておきたいところです。
文法訳読法とは
文法訳読法とはヨーロッパでラテン語教育のために使われていた教授法です。
当時はエリートを育成するためにラテン語を「教養」として学ぶというのが主流だったそうです。
文法訳読法という教授法ですが、ポイントになるのは3文字目の言葉である「訳」でしょう。
「訳」という言葉から連想できる言葉は「翻訳」であるのは難しくないと思います。
「翻訳」という言葉さえ連想できれば覚えることは少ないと思います。
翻訳というのは正確に他の外国語へ変換することなので、なんとなく言いたいことが伝わればいいというものではありません。
正確に翻訳したければ、まず文法や語彙をしっかりと覚える必要があります。そして翻訳ですから、その知識を使いながら翻訳をしていきます。これが文法訳読法です。
ここで勘の鋭い人なら、ピンときたかもしれません。
私たちが学校で勉強した古文や英語の教え方にかなりそっくりです。特に古文。
もちろん他の教授法も混じっているので完全に文法訳読法だとは言えませんが、日本人教師による文法のルールの説明、そしてなぜかみんな持っている辞書、そしてなぜかテスト問題によくある和訳せよという問題、、、
かなりそっくりですよね。
では文法訳読法の特徴を見ていきましょう。
文法訳読法の特徴
翻訳というキーワードさえわかれば特徴を暗記する必要は全くありません。
目的
・読解力を養成
必要なのは翻訳です。翻訳できるということは、つまり意味がわかるということです。意味がわかるということは読解ができているということですよね。
教具・教材など
・辞書
文法や語彙が頭に入っていたとしても、訳せないことってありますよね。
または語彙が多義的だったりすることもあるのでそんなとき使いたいのは辞書だと思います。
高校の英語や古文の授業を思い出しても、辞書を使っていませんでしたか。
練習法
練習法はもう言うまでもなく翻訳することです。
補足すると、文法のルールなどの理解した後に翻訳することです。
長所
目的や練習法を踏まえると、長所は読解力の身に付けることができるということが1つです。
また文法のルールを教えるので、教師がネイティブである必要もなく、その言語が話せる必要もありません。
また、辞書を使うので、独学にもむいており、クラスの規模も問いません。
学校教育では教師の数が必要なので、英語をしっかり話せる教員数を確保するのは難しいと思います。その点からも英語を話せる必要もなく、クラスの規模を問わないという長所は学校教育においてとても大切なのだと思います。
短所
長所がそのまま短所になります。
読解力を養成するために、翻訳をするため、話す機会がないことによる音声面の能力が身につきません。
学校で勉強した古文や英語ですが、話せるようになったという人は少ないと思います。そのことからも短所は容易に想像できますね。
もうすこし
さて文法訳読法ですが、現在の日本でもこの教授法はしっかりと根付いています。割と批判的な意見を多く聞くのにもかかわらずです。
どうしてなのでしょうか。
もちろん上記の長所もあるのも1つだと思うのですが、他にも考えられます。
今でも日本から出るつもりがないから日本語だけ話せれば良いという意見も聞きますが、昔の日本はそうではありませんでした。
かつて日本は西洋の文化を必死に吸収していたときがありました。西洋文化から遅れを取らないように迅速に学ぶ必要がありました。
そんな時、手っ取り早く学ぶ方法といえば、文献を読むことだったと思います。文献からすばやく情報を読み取るためにこの教授法が浸透し、今でも残っているのかなと考えています。
そう考えると、さまざまな文献を読む必要がある大学の準備として高校でこの教授法が使われていることにも納得ができます。
しかし、音声の能力が身につかないのもったいないかなと個人的には考えてしまいます。
まとめ
文法訳読法
キーワード「訳」
→「翻訳」重視
おわりに
今回はまとめは「訳」という言葉だけです。これは長所や短所などはそこから連想していけるようにした方がいいと考えたからです。
さて、文法訳読法はいかがでしたか。
翻訳が重視されているので会話の「か」の字すら出てきていませんでしたね。
古い教授法ですが、「古い=悪い」ではありません。
短所も大きいですが、確実に長所もあります。
教授法の歴史の流れに注目すると批判されがちですがその点はしっかり忘れないでいたいところです。
当時は教養のために外国語を学んでいましたが、とある出来事がきっかけで一気に変わります。
それは次回で確認することにしましょう。
お疲れ様でした。
参考にした本
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