品詞②〜形容詞の種類と性質〜

形容詞と聞くと、何を思い浮かべますか。

もしかしたら、日本語教育における形容詞を勉強すると、学校文法での形容詞と違いがありすぎてびっくりしてしまうかもしれません。

イ形容詞とナ形容詞

学校文法でしか勉強したことがない人は何じゃこりゃと思ってしまいそうです。

イ形容詞というのは学校文法でいう形容詞のことで、ナ形容詞というのは形容動詞のことです。

学校文法では形容詞と形容動詞は別物扱いだと思いますが、日本語教育ではどちらも形容詞です。

「おいしい」や「嬉しい」などがイ形容詞で、「〜い」で終わります。

「元気(な)」や「静か(な)」というのがナ形容詞で、名詞を修飾するとき「〜な」の形になります。

ナ形容詞はちょっと注意が必要です。

①「この部屋はきれい。」
②「外はとても静かだ。」

のようにナ形容詞といっても、ナがつかないこともたくさんあるので注意が必要です。

この特性から名詞とナ形容詞との区別がつきにくいことが多いです。

例えば、「病気」はナ形容詞か名詞どちらだと思いますか。

上の②の例文と同じ構造で文を書いてみます。

「彼は病気だ。」・・・「病気」は名詞?ナ形容詞?
「彼は元気だ。」・・・「元気」はナ形容詞

このように比べると区別がつきにくいですよね。

さて、先ほどの答えは名詞です。

基本的に「の」をつけて自然なら名詞、「な」をつけて自然ならナ形容詞です。

ただ、言葉は時代とともに変化するものなので、100%と言うことはありません。

例えば「元気」は基本的に「元気な人」と言うのでナ形容詞であると考えます。

一方、「元気のもと」や「元気の印」という例も存在しています。ただこの例はかなり例が少ないので、基本的にはナ形容詞と考えます。

ただ、どちらでもいい例もあるので文脈をみることも必要そうです。

ここまでは形容詞の分類の話ですが、次は性質による分類です。

感情形容詞と属性形容詞

さて、形容詞と何気なく使っていますが、形容するとはどういう意味でしょうか。

形容を含む言葉の中でよく使う表現は「形容し難い」がおなじみだと思います。

簡単には「言い表すことができない」という意味ですから、何かを言い表すということが形容の意味ととって問題はないでしょう。

それでは形容詞とは「何かを言い表す言葉」だと考えられますが、その「何」によって、2つの形容詞に分類がされます。

それが感情形容詞属性形容詞です。

感情形容詞

感情形容詞は、その名の通り人の感情または感覚を言い表す形容詞です。

イ形容詞では、楽しい、悲しい、嬉しい、かゆい、などがあり、

ナ形容詞では、好き、嫌い、心配、などはあります。

属性形容詞

属性形容詞とは、性質や特徴を言い表す形容詞です。

イ形容詞では、長い、明るい、高いなどがあります。

ナ形容詞では、きれい、静か、有名などがあります。

注意として、必ずどちらかの性質を持つというわけではなく、文脈によってどちらでも表せることもあります

①「今日買った豆腐はやわらかい」
②「降り積もったばかりの雪はやわらかい」

①は手で触った感触なので感情形容詞

②は一般的性質のことをいっているので、属性形容詞と文脈で変わります。

どうして感情形容詞と属性形容詞は大切なの?

感情形容詞と属性形容詞は覚えて終了。としてもいいのですが、文法を教えるときに役に立つので、どうして大切なのかについても軽く触れたいと思います。

感情形容詞は心の中身をいう形容詞なので、「主語が私(1人称)」という制約があります。

英語では、happy(ここでは「嬉しい」の意で使います)

「I am happy. 」や「She is happy.」のように言うことができます。

しかし日本語ではhappy(嬉しい)は感情形容詞なので、

「私は嬉しいです。」とは言えますが、「彼女は嬉しいです。」にはちょっと違和感があります。

「うれしがっています」や「うれしそう」にすると違和感がなくなります。

他にも

「(私は)東京に行きたい。」は言えても、「彼女は東京に行きたい。」には違和感を覚えます。

「行きたがっています」のようにすればよくなりますね。

このように感情形容詞だと意味が変になる表現がいろいろあるのでこの区別ができていないとうまく学生に説明できなくなることがあります。

形容詞とは思えない形容詞

おまけのようなコーナーですが、形容詞っぽくないけど形容詞ですよという例を少し紹介します。

「おいしい」「心配」のようなものは比較的形容詞だとわかりやすいですが、

わかりにくいものあります。

1つ目は「ない」です。

反対の言葉「ある」が動詞なので、ものすごく変ですよね。

でも、「ない」は例えば「なければ」や「なくて」のように活用します。これはイ形容詞の特徴です。

2つ目は「ほしい」です。

これも上記と同様で、「ほしければ」や「ほしくて」のように活用しますね。

3つ目は「好き・嫌い」です。

英語が得意な人だとびっくりすると思います。英語の「like/dislike」は動詞なので、ちょっと間違えやすいですね。ですが「好きな人」というように、「ほしい」よりは形容詞感がありますよね。

他にもありますが、特に注意したほうがいいのは1つ目と2つ目なので。このくらいにします。

まとめ

まとめると、

ーまとめー
形容詞の種類
イ形容詞
ナ形容詞

形容詞の性質による分類
感情形容詞
属性形容詞

おわりに

いろいろと長く書いてしまいましたが、文法体系として必ずマスターしておきたいのはまとめにあるようにそんなに多くないと思います。

授業準備をしていると、似た意味の言葉で「あれ?これって何が違うんだろう」と考えることがよくあります。

そんなとき感情形容詞か属性形容詞かどうかを考えるとうまく整理ができたこともあります。

ちょっと忘れがちなものですが、とても役に立つので、記憶の片隅に置いておくといいかもしれません。

 

 

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