外国語教授法②〜直接法いろいろ〜

さて前回の記事では、大まかな流れと文法訳読法を見ました。みんなエリートになるために、教養としてラテン語など勉強していました。高校の英語も大学の入試のため勉強しました。似ているものがありますね。

 

文法訳読法って何だっけ?

今回からは外国語教授法についてみていきたいと思います。外国語を効率学ぶ方法やその理論だったりします。ぜひ知っておきたいですね。 日本語教育能力検定試験では歴史の流れとともに、さまざまな教授法が登場します。新しいからよりすごい、というわけで[…]

 

しかし世界は変わり続けます。18世紀半から19世紀にかけて産業革命が起こりました。世界史なんて覚えてないよなんて声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。恥ずかしながら僕も詳しくありません(笑)

簡単にいうと、ものを作る効率が上がって、さらに鉄道や蒸気船が生まれたんです。ものがたくさん作れて、鉄道や船が生まれたら、いろんなところでものを売りさばいてお金を儲けたいんじゃないでしょうか。しかし商品を遠くに持って行ったら、話される言葉が違います。言葉が通じないとものがたくさん売れない。どうしよう、、、そうだ。その言葉を勉強しようとなります。こんな背景があったんじゃないかと思います。

そんな背景から、文法訳読法の弱点であった音声が重要視されはじめて、徐々に新しい音声重視の教授法がいくつか生まれてきます。それらを紹介したいと思います。

直接法

具体的に見る前にこの直接法という言葉をみていきましょう。英語で言うとDirect Method(ダイレクト・メソッド)です。これは直接、学習言語を使って勉強することです。

例えば、アメリカに留学して、語学学校にいったら、先生は日本語を使って英語のルールを説明してくれません。そうです。新しいルールや知らない単語すべて英語で勉強します。フィリピンでは、EOPという言葉があり、これは「English Only Policy」つまり英語だけのポリシーで、授業はおろか休憩時間も英語を使わなければいけないそうです。フィリピンでは母語が英語ではないけれど英語を話す人が多いのも納得です。

これからみていくたくさんの教授法は、「実用」重視のため、ほとんどが直接法と言って良いと思います。それでは具体的に見ていきましょう。

 

ナチュラル・メソッド

おそらくこれを読んでくださる方の多くの第一言語は日本語かと思います。みなさんはどうやって日本語を話せるようになりましたか。答えは「わからない。」のではないでしょうか。特別なことは特になく、いつの間にか話せるようになっていったんじゃないでしょうか。

このように赤ちゃんが母語を習得するプロセスに注目した方法ナチュラル・メソッドと言います。

赤ちゃんは文字や文法ではなく「音声」から「自然に(naturalに)」学ぶからです。音声から学ぶということは耳から聴いて学ぶと言うことです。これは後に直接法と言われます。

このナチュラル・メソッドの考え方に基づいている二つの教授法を見ていきましょう。グアン・メソッドベルリッツ・メソッドです。

グアン・メソッド

別名をサイコロジカル・メソッドやシリーズ・メソッドとも言います。グアンさんのメソッドです。これはある動作の順番を細かく書き出し、それを言葉で言いながら、その動作をするというものです。そうです。なんのことか全然わかりません。

例えば、顔を洗うという動作なら、「右手を伸ばす→蛇口のハンドルに手をかける→右にひねる→両手を前に出す→手を引く→顔を手の溝にはめる」このような流れでしょうか、これを順番に言葉に出しながら実演して見せ、その後生徒に再現させます。動作と言葉を一致させる練習でしょう。人間の思考は動作と密接であることに注目した方法です。このように人間の心理的な側面に注目したため、サイコロジカル・メソッド(psychological=心理的)ともよばれるんですね。特徴としては以下の通りです。

・学習の目標は話せるようになること

・長所としてしっかり目標言語を聞けること

・短所は幼稚に感じられたり、人は一人一人考えが違うと動作も異なるので限界がある

ちなみに「一連の動作を書き出す」ということからシリーズ・メソッド(series=一連の、連続した)とも呼ばれています。ここではくわしく触れませんが、この教授法を採用し成果をあげた日本人は山口喜一郎という人です。

ベルリッツ・メソッド

こちらもその名の通り、ベルリッツさんが作りました。目標言語のネイティブスピーカーが教師になり、語彙や文法を絵カードレアリア(実物のこと。りんごの絵を見せるのでなく、実物のりんごを使うこと、ジェスチャー、適切な例文などを使い、口頭練習を重視するという教授法です。そして「聞く」「話す」「読む」「書く」の順に学習します。まさに赤ちゃんの言語習得と同じ順番ですね。ネイティブスピーカーが先生ということは、音声がとても重視され、目標言語しか使わないということが徹底されたようです。

・学習目標は、話せるようになること。

・長所は目標言語への音声的接触が多いこと。

・短所は、教師に技術が求められることです。

これらが特徴です。

学習の順番などの違いはあれど、かなり今の教育に近いものがあるのではないでしょうか。

まとめと感想

文法訳読法で短所だった音声がそのままナチュラル・メソッドでは長所になっていましたね。新たな短所はあるとはいえ大きな変化だと思います。ここからさらに直接法が発展していきます。おそらく次回にあの大物の教授法を紹介できるかなと思います。楽しみですね。

 

 

高見澤孟監修(2018)『新・初めての日本語教育2[増補改訂版] 日本語教授法入門』アスク出版
西口光一著(2017)『日本語教授法を理解する本 歴史と理論編 解説と演習』バベルプレス
ヒューマンアカデミー著(2018)『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版4刷』SHOEISHA
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