自動詞と他動詞

今回は自動詞と他動詞についてみていきます。

自動詞、他動詞と聞くと英語で勉強した印象が強い人も多いですが、異なる点も多いので注意していきましょう。

また、学習者にとって分かりにくいところでもあるので、丁寧に見ていきましょう。

もくじ

自動詞と他動詞

そもそもまず自動詞と他動詞とは何なのかという問題ですが、今のところ私は基本的には以下のように理解しています。

自動詞=「自然に動く」動詞。

他動詞=「他を動かす」動詞。

例えば、

①窓を開ける。
②窓が開く。

という例を考えてみると、

①は私(人)が窓を開けるような印象を持ちます。

一方、②では、人が窓を開けるというより、風などによって自然に開くという印象です。

簡単な見分け方

自動詞と他動詞には区別する方法があります。

ヲ格をとることができれば他動詞、ヲ格をとることが出来なければ自動詞です。

「を」があるかないかということですね。これは英語の自他動詞にも共通していると思います。

しかし、例外が存在するので、こちらもしっかり押さえておきましょう。

「起点」や「通過点」を表す「を」は他動詞ではありません。自動詞です。

・窓を開けます。
・橋を渡る。
上の二例はどちらも「を」があるので、他動詞のように思えますが、
「橋を」の「を」は通過点の「を」なので、「渡る」は自動詞ということです。
他にも見分ける方法はあり、「を」がある場合、受け身にしてみると違いがわかります。
・窓が開けられます。
・橋が渡られます。(?)
「を」があるけれど自動詞のものは、受け身にすると意味がわからなくなります。
ただ気をつけておきたいのは、受け身にできない=自動詞ということではありません。
英語と違って、日本語は自動詞の受身が存在するからです。

見分け方の注意点

基本的には上記の「を」があるかどうかを起点・通過点の「を」に注意しながら、という方法で問題ありません。

日本語を母語とする人にはこれでほとんど区別できます。

しかし、日本語を外国語として学ぶ人にはそうはいきません。とくに初級レベルの学習者は注意が必要です。

というのは、

「を」の要素(ヲ格)が「を」以外に変わってしまう場合、省略される場合、可能動詞の場合などは初級でもよく出てくるので気をつけておきましょう

A「この漢字誰が書きましたか。」
B「わたしが(この漢字を)書きました。もっと複雑な漢字書けます。」
A「すごいですね。わたしはアルファベット書けます。」
変な例文ですが、一般的に「書きます」は他動詞ですが、省略以外一つも「を」を使っていません。
これは一例なので、いろいろと探してみるといいかもしれません。

自動詞と他動詞の種類

まず、自動詞と他動詞を勉強する際、どんな種類があるのかを知っておくことは大切です。

種類は4つあり、①ペアのある自他動詞 ②無対自動詞 ③無対他動詞 ④自他動詞 と分類されます。

それぞれ順に見ていきましょう。

①自他のペア

自動詞、他動詞の話をするときはほとんどがこの自他のペアに関することだと思います。

「消す−消える」「壊す−壊れる」「開ける−開く」のようなペアのことです。

初級の学習者ははじめて聞く自動詞他動詞という言葉とともにたくさんのペアの動詞をセットで覚えることになるので、

自他動詞=ペアの動詞だと勘違いしている学生もいるほどです。

性質としては、

他動詞の結果、自動詞になるという原因と結果の関係になります。

他動詞がモノに働きかけ、その結果そのモノに変化が起きたということです。

例えば、

・(私は)窓を開けた。
・窓が開いた。

だと、私が窓に対して働きかけ、窓を開けます。その結果、窓が開いている状態になるということです。

・タクシーを止める
・タクシーが止まる
の場合でも同様で、
タクシーに対して手を挙げるなどして働きかけ、タクシーを止めます。その結果としてタクシーが止まっているということです。

②無対自動詞

何やら難しい名前がついていますが、名前の通りです。

「無対」つまり、ペアがいない自動詞のことです。

「行く」、「歩く」「泳ぐ」のような自己完結型の動作から「成長する」「光る」のような自然現象のものまであります。

③無対他動詞

こちらも同様にペアがいない他動詞のことです。

「食べる」「飲む」「取る」のように普段よく使う動詞もたくさん含まれています。

④自他動詞

最後は、同じ動詞で自動詞も他動詞もどちらの使い方もできる動詞のことです。

例えば、「再開する」という動詞はわかりやすいと思います。

・ビジネスを再開します。
・まもなく試合が再開します。
これは同じ動詞でも自動詞にも他動詞にもなれる動詞です。
3グループの「○○する」という動詞に多いです。
ここから気をつけたいのは、「『○○』という動詞は自動詞だから覚えるように」というやり方ではなく、どちらにもなる可能性があるということを念頭に文脈から考えるようにしたほうがいいと思います。

まとめ

自他動詞をまとめると

〜自動詞他動詞のまとめ〜
自動詞・・・自然に動く
他動詞・・・他を動かす
種類
ペアのある自他動詞
無対自動詞
無対他動詞
自他どちらも

おわりに

自動詞他動詞は初級では「ています」「てあります」のような文型のときに登場する概念です。その文型ですら難しいのに自動詞他動詞という新しい概念があるため、自動詞と他動詞との混同や学習意欲の低下につながりやすいように思います。
できるだけシンプルに説明することを心がけたいものですが、そのためにはまず我々が自動詞他動詞をしっかり理解しておく必要があるともいます。

頑張っていきましょう。


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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