品詞⑧〜助詞〜

今回で品詞の最終回です。

しかし、ラスボスが残っています。

おそらく苦手意識がある方も多いのではないでしょうか。助詞です。

私も苦手意識を持っています。現役教師でも完全に把握している人はかなり少ないのではと思います。

苦手意識をもつ理由は、覚えなければならないことが多いそうなことに尽きると思います。

助詞の種類もたくさんあるし、その1種類の中に具体的な助詞が10種類ほどもありさらにその意味も覚えなければならないと覚える気もなくなってしまいます。

確かに、最後までこの記事を見てみると、いつもよりは長くなっています。

しかし、全部を覚えなければならないかと言われれば、私は「NO」だと思います。

全部は覚えなくても良いと思いますが、助詞の枠組みは理解しておいたほうがいいので、順に見ていきましょう。

もくじ

助詞の働きと種類

助詞は単独では使われず、基本的に名詞とくっついて1つのまとまりを作ります。

「田中さんが(田中さん=名詞、が=助詞)」や「公園で(公園=名詞、で=助詞)」のように使います。

助詞には主に、格助詞、取立て助詞、並列助詞、接続助詞、終助詞、複合格助詞に分けられます。

助詞も分類が立場によっていろいろありますが、ここでも赤本を中心に考えていこうと思います。

そして、色々あるということは助詞の種類に関してはそれほど重要でもないのかなと考えられますが、格助詞と取立て助詞は最低限押さえておきましょう。

格助詞

とは、述語に対してどのような関係なのかということです。

つまり、格助詞とは述語に対してどのような関係なのかを示す助詞ということになります。

まずは格助詞のイメージをつかみましょう。

具体的に見ていきます。

「食べます。」

これだけだと良い文だとは言えません。足りないもの多いですね。

この足りないものを補うのが格助詞です。

では補いましょう。

「だれが?」や「何を?」などが頭に浮かぶと思います。

「(山田さん)(お弁当)食べます。」

とてもよくなりましたね。

必須の要素ではありませんが、「どこで?」や「だれと?」というのもいいですよね。

「(山田さん)(公園のベンチ)(友達)(お弁当)食べます。」

語順はともかくより具体的になりましたよね。

この上記の例の「が」「で」「と」「を」が格助詞です。

このように、格助詞は文の骨格を担う重要な品詞です。

さて、格助詞のイメージはつかめたと思いますが、

最初に書いた述語とどのように関係するのかということは上の例だけではまだ理解しきれないかもしれません。

先ほどの「食べます。」の例を使って、足りないものを補うための質問をしてみます。

「食べます。」「誰が?」
「食べます。」「何を?」

これって立派な述語との関係ですよね。

関係があるからこそ、無いと文が不自然になってしまいます。

「誰が食べるの?」「何を食べるの?」をはじめ、

「どこで食べるの?」「誰と食べるの?」「何時に食べるの?」などの質問が作れますね。

動詞が「食べます」ではなく、「行きます」だとすると、

「どこへ行くの?」や「どこまで行くの?」などの質問が考えられますよね。

この質問が作れるものが、つまり、述語との関係性があるもの格助詞です。

格助詞は「が、を、に、で、と、へ、から、より、まで」の9つを覚えておきましょう。

「鬼までが夜からデート(を、に、まで、が、より、から、で、へ、と)」という覚え方があります。

ちなみに「は」は格助詞に入っていませんよね。

「誰は食べる?」「誰は行く?」と言えませんよね。だから格助詞じゃないと考えられるんだと思います。

格助詞は長くなりましたが、もっとも大切な助詞の種類なので、しっかり押さえましょう。

取立て助詞

取立て助詞とは学校文法で副助詞と呼ばれている品詞です。

内容は、ある事項を背景に、文中の語に付いて様々な意味を与えるものです。

ちょっとわかりにくいですが、具体例をみるとわかりやすいです。

「明日晴れです。」の「も」
「肉だけ食べます。」の「だけ」
「サルでもわかる。」の「でも」

が取立て助詞です。この助詞のおかげで

「明日も晴れです。」は「(今日は晴れでした。)明日も晴れです。」

「肉だけ食べます。」は「肉だけ食べます。(野菜や魚は食べません。)」

「サルでもわかる。」は「サルでもわかる。(人間にわからないはずがない。)」

のように隠されたメッセージを作れるのが、取立て助詞と考えても良さそうです。

取立て助詞をいくつか挙げると、

「も」「だけ」「しか」「さえ」「まで」「なんか」「くらい」「は」などがあります。

並列助詞

並列助詞とは、複数の名詞を対等な関係でならべます。

「朝昼」
「するしない
「煮るなり焼くなり

のようなものですね。これはわかりやすいのかなと思います。

例を挙げると、

「AとBと」「AやB」「AとかBとか」「AなりBなり」「AかBか」などがあります。

気をつけたい点として、「煮るなり焼く好きにしろ」のように並列助詞1つでは不自然で、

「煮るなり焼くなり好きにしろ」のように2回繰り返すことが必要なものも多いです。

接続助詞

接続助詞節と節をつなげます

節とは述語を中心としたまとまりのことでした。

「風邪をひいたのに会社へ行った。」

この例文の中に、節は2つあります。

述語はそれぞれ「ひいた」と「行った」なので、節は「風邪をひいた」と「会社へ行った」となります。

この節と節をつなげて、その節同士がどんな関係にあるのかを表すのが接続助詞です。

この例文だと、「のに」が接続助詞ということがわかり、関係性は逆接です。

他の例は、「と」「が」「から」「し」などがあります。

注意したいのは、「し」だと思います。

「ラーメンはおいしいし、安い。」の「し」は並立の接続助詞ですが、これは並列助詞ではありません。

名詞を並べていないからです。

またもうひとつ、接続詞と接続助詞の違いを押さえておくのも大切だと思います。

 

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終助詞

終助詞は文字通り文の「終わり」につきます

そして話し手の気持ちを表します

「そうなの。」
「映画面白かった。」

のように使います。

他には「ぜ」「さ」「かな」「よ」「ね」などがあります。

複合格助詞

複合格助詞は「〜について」のようなものを指します。

例えば、

「今月の予定について相談があります。」

の「今月の予定」は述語との関係性を表しています。

それでは「について」は格助詞なのかと考えたいですが、格助詞は最初に挙げた9つの中に「について」はなかったですね。

ですが、その中に「に」はありました。

つまり、「について」は格助詞とその他の要素が合わさってできたものと考えることができます。

これを複合格助詞と言います。

「に関して」「のために」「によって」などがあります。

まとめ

はじめに書いたようになぜ全部覚えることはしなくてもいいのか説明します。

今回紹介した6種類の助詞は各助詞それぞれにたくさんの語がありました。

その語それぞれに用法が存在します。例えば順接、原因理由、限定、並立など)

それらを今回あえてあまり紹介しませんでした。

それは暗記する必要性はあまり高くないと私は思っているからです。

どうしてそう考えるのかと言いますと、

一言で言うと、自由に日本語が話せるからです。

例えば、「チャーハンしか作れない」というのは「焼きそばは作れない」というような隠れたメッセージが込められていると、取立て助詞のところで勉強しました。

つまり、これをどのように覚えるのか、一般的な流れを考えてみると、

①「取立て助詞は隠れたメッセージがある」と暗記
②「しか」がその具体例だと暗記
③「しか」には「限定」の意味があると暗記

という流れかなと思います。

しかし、もうすでに日本語が不自由なく話せている人にとっては

①取立て助詞には「しか」があると覚える

だけで十分だったりします。

「取立て助詞の例は『しか』だったな」と覚えていれば、「チャーハンしか作れない」という例文を頭の中で作れ、「あれ?『しか』って隠されたメッセージがあるぞ、しかも意味的には限定してないか?」と思い出すのではなく、自分で考えられてしまいます。

さらに隠れたメッセージがあるぞとまで気づくことができれば、他にも「も」とか、「だけ」もあるなとさらに頭の中で知識を広げることができます。

このように暗記する量を減らすことができます。あくまで1例ですが。

助詞に関していうと、私は「格助詞の9つ」と取立て助詞の「は」だけ覚えていました。

「少なっ」と思われるかもしれませんが、私の場合、「並列助詞って何?」と聞かれると、時間は多少かかりますが、「並べる」→「AとB」のような具体的な助詞は漢字から容易に想像できたので、できるだけ覚える量を減らすことができました。おそらく多くのは人は同じように考えることができると思います。

さて、助詞の枠組みをまとめてみましょう。

助詞
格助詞・・・「をにまでがよりからでへと」
取立て助詞・・・言外の意図
並列助詞・・・並べる
接続助詞・・・つなげて関係を持たせる
終助詞・・・文の最後
複合格助詞・・・格助詞+何か

おわりに

いかがでしたか。

助詞は苦手な人も多いと思います。

いかに自分で考える量を増やして、暗記する量を減らすか。

ぜひ色々と考えてみてください。


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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