記憶②〜二重貯蔵モデルとワーキングメモリ〜

今回はより具体的な記憶の仕組みを見ていこうと思います。

前回説明した記憶の流れの記事を参考にしながらみてください。

もくじ

二重貯蔵モデル

二重貯蔵モデルとは短期記憶(STM=Short Term Memory)と長期記憶(LTM=Lomg Term Memory)があるというもので、短期記憶と長期記憶という言葉は聞いたことがある人も多いと思います。

これは見たり聞いたりという感覚がまず感覚記憶として保持されます。その中で注意されたものが入力され符号化されて15〜30秒ほどの短期記憶になります。

そこからリハーサル(繰り返すこと)や符号化によって、短期記憶から転送され、長期記憶として貯蔵されます。

貯蔵された記憶は必要な時に検索されて、出力されるというのを前回確認しました。

 

↓こちらに詳しい説明があります

[sitecard subtitle=前回の記事 url=https://tak-japan.com/kioku/ target=]

 

この二重貯蔵モデルアトキンソンシフリンという人によって提唱されました。

このモデルは今では発展していて、別のワーキングメモリという概念があります。

ワーキングメモリ

このワーキングメモリというのは作動記憶とも言われています。

作動というくらいですから、このワーキングメモリというのは記憶するだけでなく、仕事もしているということです。

ただ記憶するだけではなく、さまざまな情報を処理しているのがワーキングメモリなのです。

といってもわかりにくいかもしれませんので、具体例をお伝えします。

ワーキングメモリとは、短期記憶+情報処理です。

短期記憶とは例えば、電話番号の記憶が典型例です。

電話番号を聞いてメモをしてから1分後には忘れています。まさに短期の記憶です。

ワーキングメモリのおかげで、その短期の記憶を留めながら、計算、分析、理解などさまざまな仕事ができます。

買い物で手持ちが1000円あり、142円のお菓子をいくつ買えるかを考える時に

1000円の手持ち、142円のお菓子という情報を記憶するだけじゃなく、142×7=994 という計算や1000−994=6 という計算もできますね。これがワーキングメモリの例です。さらに割引や税率などの複雑な計算もこなしていますよね。

このワーキングメモリというのはバドリーという人が中心で提唱されました。

長期記憶にするために

アトキンソンとシフリンの記憶の仕組みにせよ、バドリーのそれにせよ、長期記憶という点では共通しています。

私たちが欲しいのはすぐに忘れてしまう短期記憶ではなく、長期記憶です。

どうしたら長期記憶に落とし込めるのでしょうか。

これには記憶ストラテジーを使います。その例を紹介します。

 

[sitecard subtitle=記憶ストラテジーの説明はこちらから url=https://tak-japan.com/learning-strategy2/ target=]

 

チャンキング

チャンキングとは決してチャンさんの王様という意味ではありません。

「チャンク」とは英語で「かたまり」という意味があります。

たくさんあるものを覚えようと思ったら大変です。しかし、かたまりにすることで覚える数を減らすことで覚えやすくなるというものです。

10個の単語を覚える時、その単語の頭文字をつなげて1つの言葉にするというのが例です。

「-(ハイフン)」で区切る電話番号もその例のようです。

生成効果

生成効果とは自分で問題を作ったり、解くことです。

例を考えたり、人に説明したりもこれに当たるのかなと思います。

わからなければ自分で生成することはできません。できなければ、何かわかっていないことがあるということです。

ちなみに当ブログは生成効果を狙ったものです。

体制化

体制化とは、似ている情報をまとめてグループにしてしまうということです。

例えば、「みる」という意味の英単語を並べてみると、

see、watch、look、stare、gaze、glance・・・など私が知っているだけでもたくさんあります。

これらがどういう風に違って、どのように使い分けるか深めていくのが体制化です。

また、このブログの目次のように情報を整理するのも体制化の例だと思います。

精緻化リハーサル

精緻化リハーサルとは、情報のイメージ化やすでに知っていることと関連付けをすることです。

例えば、大石さんという名前を覚えようとする時、大石さんの顔が大きい石になったイメージをしてあげると忘れにくくなったり、

大石さんの顔って、友達の田中さんに似ているなと関連付けしてあげても忘れにくくなったりします。

個人的推測ですが、顔は覚えているけど、名前が覚えられない人が多いのは、顔はイメージだからかもしれません。

維持リハーサル

維持リハーサルとは、単純に何回も心の中で復唱したり、声に出してみたりする方法です。

覚えるといったらこの方法を浮かべる人が多いのではと思います。

興味深いこと

記憶されるとき、

頻度×強度=一定

ということが言われているそうです。

これは、つまらない、おもしろくない情報でも何回も繰り返せば覚えられるということでもあり、おもしろい情報なら少ない反復でも覚えられるということです。

逆に考えると、自分の置かれている状況によって、作戦を変えることもできると思います。

私は時間があるから、とにかくリピートしてやると戦略を練ることもできれば、

私は時間がないから、とにかく強烈に知識を植えつけてやるという戦略を立てることもできます。

ちなみに後者は例えば、人名を覚えられない人はにはマルチネ=丸地さんのように、全員その名前と知り合いの顔を結びつけるなどがあります。今考えたものなので私はやっていませんが、とにかくインパクト重視です。

頻度×強度=一定

面白いですね。

まとめ

今回のまとめは以下のようになります。

二重貯蔵モデル
短期記憶+長期記憶・・・アトキンソンとシフリン
二重貯蔵モデルの発展
ワーキングメモリ+長期記憶・・・バドリー
長期記憶にする記憶ストラテジーの例
チャンキング
・・・まとめる
生成効果
・・・自分で
体制化
・・・グループ化
精緻化リハーサル
・・・イメージ・関連づけ
維持リハーサル
・・・繰り返す

 

おわりに

二重貯蔵モデルやその発展、そして記憶ストラテジーの例をみてきました。

個人的に効果の高いものは生成効果と精緻化リハーサルかなと考えています。

私はアウトプットが覚える上で大切だと思っているので、生成効果を、精緻化リハーサルをしてインプットをすれば、アウトプットもうまくできるので、おすすめです。

もし維持リハーサル中心の勉強で限界を感じているようなら、ぜひ他の方法も試してみてください。

 


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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