日本語教師になるためには独学ではなく養成講座をおすすめする理由

日本語教師になるのに養成講座に通うべきか独学でいくべきか、迷われている方がいるかもしれません。

その参考に私の考えを書こうと思います。

まず、独学では「日本語教師になれない」「日本語教育能力検定試験に合格できない」ということはありえないということを前置きとします。

独学でも日本語教師になれますし、日本語教育能力検定試験も合格できます

また、あとで触れますが大卒ではないから養成講座は関係がないという方にもおすすめしたいです。

その上で、どうして私が養成講座をおすすめするのか、説明していきます。

 

もくじ

私の簡単な経歴

私は、留学中に日本語教師になりたいと思い、独学で日本語教育能力検定試験の勉強を始めました。

しかし、うまくモチベーションが保てず、なんとか日本語教育能力検定試験を受検するも不合格。

帰国後、少しでも早く、確実に日本語教師になるために、ヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座を受講し、2度目の日本語教育能力検定試験で合格して現在日本語教師として日本語学校で働いています。

そんな経緯から経験を含めながらお話ししていこうと思います。



一般的な採用の条件

一般的な採用条件はこのような感じになっています。

①大学、または大学院で日本語教育の主専攻または副専攻を修了
②大卒以上で420時間の養成講座を修了
③日本語教育能力検定試験合格
① はかなり早い段階から日本語教師になろうと思わない限り、現実的ではないと思います。
よって、② の「養成講座の修了」または、③ の「日本語教育能力検定試験の合格」が戦略になってくると思います。
次は私の考える独学と養成講座のそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

独学のメリットとデメリット

独学の大きなメリット

独学のメリットはなんと言ってもお金と時間の節約です。

忙しい人やできるだけお金をかけたくない人にはとても魅力的な要素です。

金銭的な面では、参考書と受検料だけなのでかなり安上がりです。

最低ラインのお話しになりますが、

検定料の14500円 + 日本語教育能力検定試験対策の教科書と問題集1冊ずつの約7000円

2万円とちょっとで済んでしまいます

時間の面では養成講座ではその名の通り420時間の勉強をしますが、それは最低ラインです。

420時間の養成講座は修了できたからといって、必ず日本語教育能力検定試験に合格できるというわけではありません。

多くの人が、養成講座(420時間) + 自宅での予復習 or 日本語教育能力検定試験の勉強(+αの時間)

に時間を使います。

養成講座を終えたから合格できるだろうなんて思っていると痛い目をみます。多くの人が言うように合格率は高くはありません。

そう考えると、丁寧な授業を時間をかけてじっくりと聞いて学習を進めるより、どんどん自分で計画を立て、効率よく学習を進めたいという人には合格ラインの知識を身につける時間が圧倒的に抑えることができます

インターネットで検索してみると、3,4ヶ月の独学で日本語教育能力検定試験に合格したという記事がいくつもありますが、1年かけて養成講座を修了するよりも圧倒的なスピード感です。

次は独学のデメリットをみてみましよう。

独学の3つのデメリット

独学のデメリット①:モチベーションの管理が大変

モチベーションを保つことが非常に大変です。

当然ですが、独学は一人で勉強しなければならず、わからないことを自分で解決しなければなりません

解決が難しければストレスになってしまい、勉強したい気持ちもなくなってしまうかもしれません。

私のような強制力がないと怠けてしまう人には、非常に大変です。

実際、私はモチベーションが保てずに失敗しました。

 

独学のデメリット②:安定性に欠けてしまう

養成講座ではなく、独学で日本語教師を目指すとなると、検定試験合格が必須レベルで必要になります。

というのも、合格していなければプロフェッショナルである証明ができないからです。

現段階では、養成講座を修了せず、日本語教育能力検定試験にも合格していないとなると、日本語教師プロフェッショナルである客観的な証明ができません。

では、もし養成講座を受けないを前提とするなら、検定合格はしておきたいところですよね。

しかし、本気で独学で合格を目指して勉強しても、試験は1年に1回しか行われません。

つまり万一試験に合格できなかったら次の機会まで1年も待たなければなりません。

この日本語教育能力検定試験がみんな簡単に合格できる試験ならそれでいいのですが、

残念ながら、合格率があがってきているとはいえ、合格率は約30%なのです。

1日でも早く日本語教師になりたい場合、試験が1年に1度なことに加え、合格率も非常にネックになります。

 

独学のデメリット③:模擬授業の経験ができない

これがもっとも大きい理由です。

独学では、試験合格を目指すことになるので、日本語教育に関するさまざまな知識を身につけることができます。

これに関しては、養成講座で学んでも同じです。

しかし、一番大切な模擬授業の経験ができないということが3つ目のデメリットです。

上記の日本語教育の知識をしっかり身につけることは確かに非常に大切ですが、よりよい教師になるために必要な知識といった位置付けです。

しかし、日本語教師になる夢を持ってるあなたにとって、良い教師になることはもう少し先の話であり、

実際の授業の準備はどうやってするの?とか実際に教壇に立って教えるってどんな感じなの?とか、そういうことが知りたい人の方が多いと思います。

そういった実技を独学でやるのは非常に難しいです。

 

日本語教師養成講座(420時間)のメリットとデメリット

養成講座のメリットとデメリットは、独学のメリットとデメリットをひっくり返したのが基本になります。

しかし、それだけではないこともあるので、具体的に説明していきます。

養成講座の大きな4つのメリット

養成講座のメリット①:日本語教育関係の知り合いが増える

まず、日本語教育関係の知人が増えます。

その恩恵の1つは仲間ができるということです。

仲間がいるといっしょに頑張ろうと思えるのは当然ですが、わからないことを教え合ったりできるのでモチベーションが高まります

私の場合は、クラスメイトがわからないことを教えて自分の理解を深めたり、模擬授業前にクラスメイトを前に授業をしてみて感想をもらったりしたことは非常に勉強になりました。

さまざまなバックグラウンドを持つ受講生は、私では思いつかないようなアイデアを出す方がたくさんいて、本当に勉強になりました。

また仲間がいるということはつながりが増えるということなので、情報がよく入ってきます

日本語関連のセミナーの存在を教えてくれたり、養成講座卒業後に散り散りになった仲間からいろいろな日本語学校の情報を手に入れたり、直接働きませんかと声をかけていただくこともありました。

このような情報交換の場が圧倒的に増えます

一緒に勉強している仲間だけではありません。

養成講座の先生方は、わかりやすい授業をしてくださるだけではありません。

先生方の豊富な日本語教師としての経験や意見や、研究者としての考えを聞く機会もあります。

特に後者は非常に貴重です。

 

養成講座のメリット②:手厚いサポートを受けられる

2つ目のメリットは、養成講座ならではのサポートを受けることができることです

講師の方々に質問をすることができるというのもサポートの1つです。

また、私が受けた養成講座では、日本語学校の紹介や就職活動などのサポートや無料セミナーへ参加できたり、DVDで追加学習などができたりとかなり充実したサポート体制が整っていました。

 

養成講座のメリット③:模擬授業ができる

養成講座の大きなメリットの一つとして、模擬授業がカリキュラムにあることです。

苦労して教案を作り、その修正をしてもらい、外国の方に学生役として授業に入ってもらい、クラスメイトや学生役の方からフィードバックをもらう経験は非常に大きいです。

自分ではわかりやすいつもりでもそうじゃなかったなんてことはよくあります。

教案の準備にどれくらい時間がかかるのか、予想外な質問が飛んでくる感覚、複数人を前に話す経験などは、実際にやってみないと分かりません。

大変でしたが、苦労をしたことが自信につながり、実際に働き始めたらこのように教えるのかと具体的に確かめることができるので、日本語教師として働くということが現実味を帯びてきたのを覚えています。

 

養成講座のメリット④:420時間の養成講座修了証がもらえる

最後に当たり前なんですが、420時間の養成講座修了証がもらえるということです。

大卒の人であれば、修了したら確実に採用の応募条件を満たすことになると同時に、プロである証明になります。※

※公認日本語教師、登録日本語教師の国家資格ができるかは現時点ではわかりませんが、執筆時点では。

 

養成講座のデメリット

独学のメリットがそのままデメリットになります。

つまり、お金と時間の節約です。

養成講座はどこでもおおよそ50万円ほどかかってしまいます。

さらに住む地域によっては交通費もかかります。近くに養成講座が受けられる場所があるとは限りません。

その場合は車や電車を使う人もいるでしょう。例えば電車で往復600円なら週に3回行くとしても、単純計算で1年で9万円近くかかります。

また通いとなると、通学に30分だとしても、1年だと70時間くらいかかってしまいます。

金銭面でも時間面でもこれは大きなデメリットです。

ただし、最近はコロナの影響もあり、オンライン講座も増えており、通学とオンライン授業を組み合わせたハイブリットなものまであるので、選択肢がある分、比較的、時間的にも金銭的にも多少はましだと言えそうです。

独学の金銭面は明確にメリットと言えましたが、養成講座のデメリットは考え方次第だとも言えます。

たしかに、50万円と聞くと、安いとはいえません。

しかし、常勤講師で働き始める場合、2~3か月で取り戻せる金額とも言えます。

考え方ではそこまでと思える人もいるかもしれません。

 

結論

メリットとデメリットを見てきましたが、実際に養成講座を修了した感想として良かったといえるのは、仲間の存在です。

今の時代、これからの時代は情報がとても大事です。知識はインターネットでいくらでも無料で手に入ります。しかしながら信頼できる仲間との情報やつながりは簡単には手に入りません。

養成講座で学んだ知識は忘れてしまうかもしれませんが、仲間に関しては何年経っても困ったときには助け合えます。私もいろいろな日本語学校や専門学校や技能実習生の話などを聞けたり、実際に教え始めた際に文型の分析がうまくいかないときにも助けてもらうこともありました。

これが私自身が養成講座に行って良かったと思える1番の理由です。

この理由があるからこそ、大卒じゃなくても420時間の養成講座をおすすめします。

そして確実にもらえる修了証も大きいですよね。

私の場合は留学を終えてからできるだけはやく働きたかったので、修了してしまえば確実に働けるようになる養成講座を選びました。

少々言い過ぎになってしまうかもしれませんが、仲間と確実な修了証以外はおまけのようにさえも思えます。

おわりに

もう一度繰り返しますが、独学を否定しているわけではありません

独学は一般的には難しいとされているだけで、素晴らしい結果を残せる人もたくさんいます。

逆に、確実に修了証がもらえるからと言って、自己学習を疎かにしたり、遅刻が常習になっていたり、後ろの席で居眠りするようならば、それは本当にもったいないことです。

残念ながら実際にそのような人はいました。

養成講座でも、独学でもやる人はやるし、やらない人はやりません。

みなさんは独学と養成講座、どのように考えますか。

少しでも何かみなさんの参考になれば幸いです。



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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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