今回からは形態論について少しずつみていこうと思います。

今までは音声でなかなか大変でしたが、形態論はちょっとだけイメージしやすくなると思います。

ただ日本語教育能力検定試験では形態論の全てを扱うわけではなく、むしろ一部だと認識しています。

だから赤本にも形態論というタイトルではなく、形態体系となっているのではないかと個人的に思います。

ではその形態論(体系)とはどんなものなのでしょうか。

形態論

形態論とは、語の構造を扱う学問です。

「語」というのがポイントです。

音声は目には見えないのでイメージしにくいところがありますが、語は目に見えるので少しは学習しやすいと思います。

先ほどイメージしやすいといったのはこれが理由です。

とりあえずは語の学問なんだと頭に入れておいてください。

形態素とは

忘れてしまいましたが、どこかで学問とは分けること、のような言葉を聞いたことがあります。

たしかにそうだなあと納得させられます。

「言葉」の意味が曖昧だから、ラングとパロールに分けて考えようというのもその例かもしれません。ラジオが壊れてしまって何が原因か調べるために分解するのもその例かもしれません。

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語も同様です。

語も分けてしまおうということです。

例えば、「雨雲」という語を分けると、「雨」と「雲」とに分けられます。

「雨」も「雲」もこれ以上分けることができませんよね。(もちろん、「あ」「め」「く」「も」のように分けられますが、それは「語」の研究ではなく、「音」の学問になってしまいます。)

この、これ以上分けられない意味の最小単位形態素と言います。

そして形態素は { } 記号で表します

「雨」と「雲」の場合はそれぞれ {ame}、 {kumo} 表せますね。

異形態とは

先ほどの「雨雲」という言葉ですが、意味の最小単位である {ame} と {kumo} が結びついてこの語になることは問題ないと思います。

しかし、「雨雲」は「あめくも」と読みません。「あまぐも」と読みます。

{ame} と {kumo} が実際には /ama/ と /gumo/ に形が変わって「あまぐも」となります。(// の記号については下の関連記事を読んでみてください。)

一方、「雨男」という語は {ame} と {otoko} の形態素から成り立っていますが、

{ame} はそのまま /ame/ として使われ、何も形が変わっていないので「あめおとこ」となります。

つまり、{ame} は /ame/ でも /ama/ でも正しいということになります。{ame}という形態素は /ame/ や /ama/ のように音が変わって現れるということです。

このとき、/ame/と/ama/は異形態と呼ばれます。

・・・

さあ、今ピカッと頭から豆電球が光った方はいますか。

この関係ってどこかでみたことがあると思いませんでしたか。

そうです。異音のことです。

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・音素 /s/ には、[s]と[θ]が所属していて、それぞれを異音と呼びました。
・形態素 {ame} には、/ame/ と /ama/ が所属していて、それぞれを異形態と呼びます。

なんか似ていますね。まとめとイメージしておくといいと思います。

要するに、「SMAP」というグループではバラエティー番組には相性の良い中居くんを、ドラマや映画にはキムタクにお願いするようなものです。

形態素 {ame} というグループには異形態 /ame/ と /ama/ というメンバーが存在していて、

「男」という言葉は相性がいい /ame/ さんにおまかせして(あめおとこになる)、

「雲」という言葉は相性がいい /ama/ さんにおまかせする(あまぐもになる)という感じです。

おわりに

今回は形態素をメインにみてきました。

次回は形態素をもう少し細かくみていく予定です。

変な例を出しましたが、わかりやすかったら嬉しいです。

まだ記号が出てきて、抵抗感のある人もいるかと思いますが、次回からはもうちょっと具体的になると思うので、楽しみにしておいてください。


参考にした本

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