語彙体系①〜語彙の種類〜

今回は語彙について見ていきます。

語彙というと、英単語を覚えるときや語彙を表すボキャブラリーという言葉でもよく耳にしますが、一体どんなものなのでしょうか。

語彙とは

語彙とは、ある特定の範囲の中で使われる語の集合のことです。

このように聞くととよくわかりませんが、

言い換えると、「何でもいいのであることをするために必要な言葉の集まり」と考えるとわかりやすい気がします。

例えば、英単語帳は、「英語で話すための言葉の集まり」ですし、今私たちが学んでいる用語も「日本語教師としてうまく立ち回るための言葉の集まり」だったりすると思います。

語彙の種類

語彙の意味が、言葉の『集まり』だと確認しました。

では、言葉はどうやって『集まった』のでしょうか。

言葉は勝手に集まりません。そして言葉は膨大な数存在します。

膨大な言葉の中から選び取って集めた誰かが存在するはずです。

そしてその誰かはとある基準に基づいて言葉を選んだはずです。

選ぶ基準によって語彙というのは変わってくるので、それに注意しながら種類を見ていきましょう。

理解語彙と使用語彙

理解語彙

理解語彙文字通り理解できる言葉の集合です。

理解できる語を基準として集めた語彙ですね。

あくまで理解できるということがポイントですから、聞いたり、読んだりする時の語彙になりますね。

また日本語母語話者の理解語彙というのは、40,000〜50,000語くらいだそうです。

ちなみに難関大学の入試に必要とされる英単語数は約6000語だそうです。

多いと思うのか、少ないと思うのかは人それぞれですね。

使用語彙

対して使用語彙とは使用できる言葉の集合です。

使用というのがポイントなので、話したり、書くときの時の語彙になります。

例えば、私にとって、「誤謬(ごびゅう)」という言葉は知っているので、理解語彙には入っていますが、普段から私が使うかというと全く使いませんし、誤謬は受験の時の現代文の科目の中で覚えた言葉で読むときしか使いませんでした。この場合、誤謬は私の使用語彙ではありません。

そして、使用語彙は一般に理解語彙の3分の1と言われているようで、母語話者では、おおまかに10,000〜20,000語といったところでしょうか。

そう考えると、英語では難関大学レベルでは2000語が使用語彙となるので、単純に考えて旧日本語能力試験の2級(N2相当)のレベルの使用語彙と同じくらいと想定されます.(注)

(注)旧試験の2級に必要な語彙レベルは6000語程度、つまり使用語彙は2000語レベルだと予想。

私の感想だとN2を合格できる学生はかなり話せる印象で、大学生だった私の英語力は彼らの日本語力には全く及ばないことを考えると、N2をとるような学生は本当にがんばっているなと思います。

基礎語彙と基本語彙

基礎語彙基本語彙はよく混同されやすいので、注意が必要です。

私もこの区別に頭を悩ませていました。

基礎語彙

基礎語彙とは、ある言語の根本的な語彙のことです。

基礎という言葉は基礎工事というように要するに土台です。ゼロから造っていくものです。

例えば、日本語の基礎語彙について考えてみましょう。

日本語がまったく話せない人はどんな言葉を最初に覚えますか。

「おはようございます」や「何」や「食べます」や「名前」や「お父さん」のような言葉だと思います。

英語だと、「have」とか「she」とか「mother」のようなものです。

これは、全く話せない人が、日常会話ができるような単純な、簡単な言葉の集まりです。

基本語彙

一方で基本語彙というのは単純、簡単とは言い切れません。

基本語彙とは、特定の領域内の語彙の重要語の集まりということですが、詳しく見ていきましょう。

以下の言葉はどんな言葉だかわかりますか。

「サムネイル」「サブスクライブ」「ストリーミング」「スーパーチャット」

答えを言うとこれらはYouTubeという動画サイトでよく使われる言葉なのですが、YouTubeについてあまり詳しくない人にとっては何の意味か全くわからなかったと思います。その人には決して簡単でも、単純な言葉でもなかったはずです。

このように、ある領域の中で、重要とされる言葉の集まり基本語彙と言います。

例えば、日本語教育で基本語彙を並べるなら、、、

「テ形」「イ形容詞」「接続」「機能」のような言葉が基本語彙になるんじゃないかなと思います。

「イ形容詞」や「テ形」は基礎語彙にも入りそうですが、「接続」や「機能」という言葉は基礎語彙に入るとはちょっと思えません。

まとめ

まとめると以下のようになります。

彙の種類
理解語彙・・・読んで聞いてわかる語彙、40,000~50,000語程度
使用語彙・・・書いて話せる語彙、理解語彙の3分の1
基礎語彙・・・言語の根本的語彙
基本語彙・・・ある領域の重要語

おわりに

いかがでしたか。

多くの場合は、理解語彙と使用語彙はあまり問題なく理解できますが、基礎語彙と基本語彙の違いがわからない、または混同してしまうことがあります。

特に、「基本=基礎=簡単」のように思ってしまう人はその傾向が多いのではないでしょうか。

今後の学習の参考やモチベーションにつながれば幸いです。

 

 

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