意味体系のいろいろな言葉

今回は意味体系を扱っていきます。

意味というのは語彙よりさらに奥深くに進んでいくようでワクワクしますね。

今回はみなさんも一度は聞いたことがあるような単語が多いので、しっかりと確認していきましょう。

上位語と下位語

みなさんは球技と聞くと何が頭に浮かびますか。

野球ですか、サッカーですか、ラグビーやテニスなどさまざまなものが浮かびそうですね。

このとき球技を細分化していったうちの1つが野球であり、サッカーでもあります。

このように意味の範囲が広いもの上位語範囲が狭いもの下位語と呼びます。

よって、ここでは球技が上位語野球やサッカーが下位語になります。上位語と下位語の例

このような上位語と下位語の関係を包摂関係と呼びます。上位語が下位語を包んでいるイメージですね。

1つ気をつけたいのは上位語と下位語の関係性は変わるということです。

例えば上の例では球技が上位語で野球が下位語でしたが、スポーツと球技だとスポーツが上位語で球技が下位語になってしまいます。

球技は上位語でもあり下位語でもあるということです。つまり関係性によって変わるということです。

上位語と下位語の例

 

そして上位語は抽象的で下位語は具体的である傾向なので、語彙を学ぶ時は下位語が先に学ぶことが一般的です。

例えば私たちも「pen(ペン)」や「eraser(消しゴム)」という下位語は知っていても「stationery(文房具)」という上位語はわからないという人も多いと思います。

類義語と同義語

もしかしたら類義語も同義語も同じ意味だと考えている人もいるかもしれません。

確かに似てはいますが、しっかりと区別しましょう。

類義語

類義語は簡単に似ている言葉のことですよね。

似ているということは共通点があるということです。

「あがる」と「のぼる」だったり、「つめたい」と「さむい」などがその例です。

共通点がありますが、違う点もあります。

つまり類義語とは、部分的に共通する部分があるということです。

同義語

類義語は一部が共通する意味がありましたが、同義語ほとんどの部分が共通しています

つまり、ほとんど同じ意味だということです。

「山登り」と「登山」、「病気」と「やまい」、「食べる」と「召し上がる」のように基本的に同じ意味を指します。

ただし、全く同じというわけではなくて、文脈や場面などによって使い分けられます。

全く同じ意味だったなら、どちらかの言葉は消滅するはずだからです。

昔は「衣紋掛け」という言葉がよく使われていたそうですが、今は「ハンガー」という言葉に変わっているのがその1例だと思います。

類義語、同義語、上位語、下位語の考え方

上の説明でも十分かと思いますが、もっと視覚的なイメージで考えていこうと思います。

例えば、「野球」と「タンポポ」という単語は基本的にまったく関連がありません。

よってイメージにするとこのようになります。

つぎは「きれい」と「美しい」という言葉を見てみましょう。

先ほどの全く関連のない言葉と比べれば二つの円はより近づきます。2つの意味に関連があるからです。

どちらも目で見てすばらしいという意味を持っていますが、「きれい」は清潔で汚れていないという意味があり、その意味は「美しい」にはありません。だから一部重なっていて、他の部分は重なっていませんね。

これが類義語のイメージです。類義語のイメージです

次は、「食べる」と「召し上がる」についてみましょう。

先ほどの例と比べてさらに近づいていると思いませんか。ほとんど意味が同じですよね。

これが同義語のイメージです。

完全に重なることもあれば、頭のイメージのようにほとんど一致という場合もあります。
同義語のイメージ

最後は完全に埋まってしまう例です。

先ほどの同義語のイメージでは同じ大きさの円ですが、今回は大きい円にすっぽりと小さい円が入ってしまっています。

これこそ、はじめに説明した包摂関係ですよね。

よってこのイメージは上位語と下位語のイメージです。上位語の方が意味の範囲が広いので「野球」の円を広くしました。

上位語と下位語のイメージ

この全く関係のない二つの円が徐々に近づいていくことで、無関係だった言葉から類義語、同義語、そして上位語下位語へと近づいていくイメージが伝わったでしょうか。

対義語

最後が対義語です。

対義語は反対の言葉という理解でもいいですが、「対(つい)」という言葉からペアになるというイメージも持っておくとよりいいのかなと思います。

というのも対義語には4つの下位区分があり、ただ反対の意味というよりはどんな性質のペアかによって4つに分類されるからです。

それぞれを相補的対義語、両極的対義語、連続的対義語、視点的対義語です。

相補的対義語

相補的対義語とは、「表と裏」、「男と女」のような関係です。

「相」互に「補」うと書くので、足したら100%になるという関係ですね。

よって、「AじゃなければB」と考えられるものが相補的対義語です。

両極的対義語

両極的対義語とは「入学と卒業」「入口と出口」のような関係です。

「極」という漢字はそれ以上ない頂点という意味があるので、両端のイメージを持っておくといいです。

そしてその両端には中間段階がないということも大切です。

「北極・南極」もこの例ですが、北極じゃない=南極ではないですよね。

日本は北極でも南極でもないですよね。

このイメージができれば、相補的対義語との区別もできるのではないかと思います。

連続的対義語

連続的対義語は両極的対義語と似ていて同じ両端なイメージです。

言葉の例として、「高い」と「安い」、「おいしい」と「まずい」などがあります。

では何が違うのかというと中間段階があることです。

例えば、ペットボトル飲料1本で5000円と言われたら高いですよね。

一方、他のペットボトル飲料が10円で売っていたら、安すぎますね。品質を疑ってしまいます。

しかしペットボトル1本150円だったらどうでしょう。

コンビニでもよくある普通の値段です。これは高いですか。安いですか。

どちらでもないですね。

この高くも安くもない、この状態が存在するのが連続的対義語です。

ここで、両極的対義語との区別が難しい人もいるかもしれません。

というのは先ほどは「日本は北極でも南極でもないですよね」といった例から「北極と南極」は連続的対義語じゃないのかと思わせてしまったかもしれません。

連続的対義語は「連続」がイメージなので、

とても高い→高い→ちょっと高い→高い?→高め→普通→安め→安い?→ちょっと安い→安い→とても安い

のように徐々に変わっていきます。

例えば「高い」が黒色で「安い」が白色だとすると、

この流れに沿って黒から徐々に薄くなてきてグレーに、グレーからさらに徐々に薄くなって白色になるという流れができます。

何が言いたいかというと、高い、安いという意味は決して途切れていないということです。

先ほどの「北極と南極」の例は日本に来ている時点でそこはすでに極ではありませんよね。

意味が連続していません。意味が途切れてしまっています。

だから北極と南極は両極的対義語なのです。これが私の持っているイメージです。

視点的対義語

視点的対義語とは同じものなのにそれを見る視点によって変わる対義語です。

例えば、店から人に商品が移動することを、店側からみたら「売る」になり、人側から見たら「買う」となります。

他の例を挙げると「行く」と「来る」や「右」と「左」も有名な例です。

このように、場面によって指す意味合いが変わることをダイクシス(直示)表現と言います。

多義語

多義語とは一つの意味から派生し、複数の意味をもつ言葉です。

「とる」「みる」「やる」など複数の意味がありますね。

英語の「right」は「右」という意味と「正しい」という意味があることから多義語だと言えますね。

他にも最近の若者言葉の例を挙げるなら、

「やばい」という言葉は私は多義語だと思います。

「あの人やばい」という文を考えると、

解釈①「あの人はかっこいい(かわいい)」・・・肯定的な褒め言葉

解釈②「あの人はおかしい」・・・否定的な言葉

このように考えると「やばい」は多義的だといえます。

まとめ

まとめると以下のようになります。

まとめ
上位語・下位語・・・完全に覆われる関係
類義語・・・共通部分あり
同義語・・・ほぼ共通部分
対義語・・・反対のペア
相補的対義語・両極的対義語・連続的対義語・視点的対義語

多義語・・・複数の意味

 

おわりに

今回は比較的楽だったのではないでしょうか。

言葉自体は聞いたことがあるものが多かったと思います。

しかし、対義語の種類については混同しやすく注意が必要なので、しっかり確認しておきましょう。

補足

今回扱った「類義語」という言葉は狭義の類義語を指します。

広義の類義語は同義語や上位語・下位語も含みます。

どちらが正しい、間違いという問題ではなく、どう捉えるかによって変わると思うので、頭に入れておいてもいいかもしれません。

 

 

斎藤純男著(2017)『言語学入門』三省堂
ヒューマンアカデミー著(2018)『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版4刷』SHOEISHA

 

 

 

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