態(ヴォイス)③〜使役〜

今回は使役を扱っていこうと思います。

まずは使役とは何なのかということから見ていこうと思います。

もくじ

使役とは

使役とは人に何かしらの行為をさせるというものですが、こちらもややこしいので、実際の例文を見てもらったほうがわかりやすいです。

映画館で子供を静かにさせた
嫌がる子供に薬を飲ませた
これが使役です。
「せる」「させる」のような形が多いです。
なーんだ簡単じゃんと思われるかもしれませんが、気をつけなければならないこともあります。
まずは受身の時と同様に作り方から見ていきましょう。

使役の作り方

使役は語幹に「(s)aseru」をつけます。

1グループの動詞には「aseru」、2グループ の動詞には「saseru」を語幹につけます

 

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3グループは基本的に「させる」と「こさせる」です。

例えば、1グループの「飲む(nom-u)」と「書く(kak-u)」は「飲ませる(nom-aseru)」と「書かせる(kak-aseru)」となり、

2グループ の「食べる(tabe-ru)」と「寝る(ne-ru)」は「食べさせる(tabe-saseru)」と「寝させる(ne-saseru)」となります。

これが使役形の作り方です。

さらに使役形には短縮形が存在します。

地域や世代によって使用頻度など異なると思います。ちなみに私はほとんど使いません。

短縮形は1グループには「asu」、2グループ には「sasu」をつけます。

3グループは「さす」と「こさす」です。

「○す」のようなサ行の子音動詞は短縮形は使わないことと、2グループの短縮形はあまり使われないそうなので、注意しましょう。

使役の文法の注意

使役は自動詞からも他動詞からも作ることができます。

他動詞で使役を作る場合、使役の相手(影響を受ける側)に「に」を使います

母親は子供野菜を食べさせた。(子供が使役の相手)
子供英語を習わせる。(子供が使役の相手)
自動詞で使役動詞を作る場合、使役の相手に「を」か「に」を使います
先生が私を/に泳がせました。(どちらでもいいパターン)
先生が私校庭を走らせた。(「を」が使えないパターン)
他動詞の使役の場合、使役の相手に「に」をつけ、自動詞の場合は使役の相手に「に」か「を」をつけますが、常にどちらでも使えるわけではないので、注意が必要です。

使役の用法

基本的な用法は2つですが、細かくはなりますが、さらに別の用法もたくさんあります。

まず、基本的で、必ず押さえておかなけらばならない用法は「強制」「容認」です。

また、重要度は落ちるものの頭の片隅に置いておいてもいいものは「原因」「責任」です。

他にもたくさんあるようなのですが、今回は基本的な用法を見ていきます。

それぞれ見ていきましょう。

強制

使役と聞いたら強制の意味が最初に思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
強制という言葉から想像できるように、相手の意思にかかわらずという意味です。
母親は野菜嫌いな子供に野菜を食べさせた。
その教師は学生に漢字を10回ずつ書かせた。
このような例文から、嫌がる子供の顔や、嫌そうな学生の顔も浮かぶと思います。
これが強制です。

容認

こちらも強制ほどの認知度はないかもしれませんが、基本的な用法(初級で勉強する用法)なので、しっかりおさえたいところです。

先ほどの「相手の意思に関係なく」の強制とは違い容認なので、相手の意思を尊重します。

ですから、例文は、

(誕生日なのでトイザラスに行って)両親は子供に好きなおもちゃを選ばせた
さんざん考え抜いた結果、母親は娘を東京へ行かせることにした。
のようになります。
強制のような無理やりな感じではなく、親が「いいよ」と容認していることが文脈からイメージできますね。

原因・責任

この原因・責任はメインの用法ではありませんが、日本語教育能力検定試験では知っておいたほうがいいでしょう。

原因・責任という言葉の意味は説明しなくてもいいと思いますので、例文で確認しましょう。

彼のその冷め切った態度が二人を別れさせた。(原因)
私の寝坊が友達を待たせることになってしまった。(原因)
私が世間を騒がせてしまいました。(責任)
私が頂き物の果物を腐らせてしまいました。(責任)
このような例文になると思います。
責任の文は原因とも取れなくないと思いますが、原因は主語が出来事や事柄、責任は主語が人物ということで区別はできます。
ここからは私の感想なのですが、責任はともかく、原因は英文の直訳のような感じがして、自然な感じがあまりしません。また、意図しない、好ましくない結果が多いと思うので、自分で例文を考えるときのヒントになると思います。
さらに原因を表す表現は他にもたくさんあります。
例えば、「彼のその冷め切った態度によって、二人は別れてしまった。」のほうが私は自然な感じがします。
だから使役のメインの用法ではないのかもしれないなと思いました。

まとめ

使役をまとめると以下のようになります。

〜使役まとめ〜

使役の作り方・・・語幹に「(s)aseru」
使役の用法
強制・・・相手の意思に関係なく
容認・・・相手を尊重     
原因・責任・・・原因・責任(そのまま)

おわりに

使役というと、私の中では強制の意味が強いです。
しかし、他にも用法があるためしっかり文脈から用法を判断できるようにしましょう。
特に初級では強制と容認をいっしょに教えることが多いと思うので日本語教育能力検定試験に関係なく大切です。

参考にした本


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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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