態(ヴォイス)②〜受身〜

態の最初は受身です。

受身はちょっと理解が難しいポイントもあるので、しっかりおさえていきましょう。

受身

受身という言葉は普段の生活の中で聞く言葉ではありません。

しかし、多くの人はどんな意味なのか説明はできなくてもどんな文法なのかイメージを持っていると思います。

受身とは動作や出来事を受ける人やものが主体になると言ってもなかなかピンとこないですが、

・「先生に褒められました。」
・「姉にケーキを食べられました。」
のようなものですよといわれるとなるほどこういう文法なのかとなんとなく理解できるのかなと思います。
これも学校の英語教育が役に立っているとも言えると思います。
ここで受身とは、の定義について細かく話すつもりはありません。
日本語教育能力検定試験においては、受身の定義ではなく、種類が大切だと思うので、そこをおさえていきましょう。

受身の作り方

種類が大切だと言っても作り方も大切です。

これについては検定試験だから大切という意味よりは、実際に教える際に必要だから大切という印象です。

動詞の語幹に 「(r)areru」をつけるだけです。

つまり、1グループの動詞には「areru」、2グループの動詞には「rareru」をつければ受身の完成です。

3グループは不規則動詞なので、ルール外で「される」と「こられる」となります。

例えば、1グループの「書く(kak-u)」や「読む(yom-u)」などは

語幹に「areru」をつけるので、「書かれる(kak-areru)」、「読まれる(yom-areru)」となります。

2グループは「見る(mi-ru)」や「開ける(ake-ru)」などがありますから、

語幹に「rareru」をつけるので、「見られる(mi-rareru)」「開けられる(ake-rareru)」となりますね。

 

動詞のグループ分けや、どうして「kak-u」や「yom-u」のようになるかについては次の記事をお読みください。

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ちなみに学習者には上記のやり方では難しいのでわかりやすく、

1グループの動詞はマス形(「食べます」のような「○○ます」の形)のマス形の直前の音をア段の音に変えて「れます」をつけ、2グループの動詞には「ます」を消して「られます」をつけるのように教えるのが一般的かなと思いますが、結局は同じことですよね。

1グループ 書ます→書→書かれます
2グループ 見ます→見→見られます

受身の種類

さて、次は一番大切な種類です。

受身が難しいと思っている人の理由のほとんどがこれだと思います。

先に言ってしまいますが、間接受身がわかりにくいということだと思います。

3つありますので、1つ1つ確実にいきましょう。

受身は、直接受身、間接受身、持ち主の受身の3つに分類されます。

直接受身

直接受身はいわゆる受身と聞いて一番思い浮かべる形だと思います。

能動の文の目的語が主語になって、その文の影響を直接受けます。

田中さんがラーメンを食べます。

という能動文は、受身にすると、

ラーメンが田中さんに食べられます。
この受身のラーメンは田中さんによって、直接食べられていることが大切です。
イメージとして、田中さんからラーメンに向かって矢印が伸びている感じです。このイメージについては次に他の例で図にしましたので参考にしてください。
能動文の動作主は基本的に「に」に変わっているのも地味な点ですが、おさえておきましょう。
英語でも似たような文法があるので、直接受身に関しては問題がないことが多いように感じます。

間接受身

こちらの間接受身はやや注意が必要かもしれません。

というのも、先ほども書いたようになかなか直接受身と何が違うのかわかりにくいという声を聞きますし、実際私もよくわからなかったです。

間接受身は能動文の影響を間接的に受けます

これだけではよくわからないので、イメージ図を作成しました。

まずは直接受身のイメージですが、先ほど行ったように、矢印のイメージです。

ここでは「私は先生に怒られました。」という例文ですが、

先生が主語である「私」に直接怒っている、「私」が先生に直接怒られていることがイメージできるでしょうか。

直接受身のイメージ

次は間接受身のイメージです。間接受身は自動詞でも、他動詞でもなるので、場合を分けて考えてみます。

まずは他動詞「開ける」を使った「(私は)先生に窓を開けられた。」という例文です。

この文の状況を確認してみると、「先生が窓を開けた」ということと、主語である「私」に直接的な影響はありません

先生が直接影響を与えているのは窓であって、私ではありません

先生が窓を開けることによって、例えば私は心地よい風で涼んでいたのに、窓が閉められて間接的に迷惑を感じてしまうということです。

迷惑を感じてしまうことから、間接受身は迷惑受身とも呼ばれます。

間接受身(他動詞)イメージ
他動詞の例は見ましたが、自動詞のイメージ図はちょっとだけ違います。

とはいっても、核となるものは変わらないです。

「(私は)赤ちゃんに泣かれた。」という例文です。

赤ちゃんが泣くことは特にプラスでもマイナスでもなく、中立的です。

しかし、赤ちゃんが泣くということに迷惑を感じてしまったときに、間接受身となります。

間接受身(自動詞)のイメージ

他にも、「雨に降られた。」や「子供に死なれた。」もそうですし、最近の話題になっている「香水」(瑛人)という曲の歌詞に『横にいられると思い出す』というのもこれに当たると思います。

持ち主の受け身

持ち主の受身間接受身の一種とされています。

キーワードは身体の一部所有物で、その所有者が主語になる受身です。

所有物や身体の一部が目的語となるので、この受身は他動詞だけが使われます。

「(私は)電車で足を踏まれました。」
「(私は)財布を盗まれました。」

このように、所有物や身体の一部が出てきたら、持ち主の受身だと考えて良いでしょう。

この受身は学習者が間違えやすい文法です。少なくとも英語圏の人は所有者を主語にせずに、

「私の足が電車で踏まれました」とすることがあります。

英語的にはこの構造はいいですが、日本語ではちょっと違和感がありますよね。

まとめ

まとめると以下のようになります。

受身のまとめ
受け身の作り方・・・語幹に「(r)areru」をつける
受け身の種類

直接受身・・・直接的な影響
間接受身・・・間接的な影響
持ち主の受身・・・所有物や身体の一部が目的語で、所有者が主語

おわりに

受身の文法は複雑ではないと感じますが、用語やその意味をつかむことは単純ではないと思います。

日本語教育能力検定試験では理解してしまえば大変なところは多くないですが、学習者にとっては受身にすることで助詞が変わったり、受身の作り方や受身の意味など混乱しやすい単元だと言えます。

そういう意味ではかなり大変だと思います。

 

 

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益岡隆志・田窪行則共著(2018)『基礎日本語文法 ー改訂版ー』くろしお出版

 

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