今回からはテンスについて扱っていこうと思います。
テンス(時制)と聞くと、英語で勉強した時制が思い浮かびます。大学受験においては広く深く勉強すると思うので、苦手意識がある人も多いかもしれませんが、日本語教育能力検定試験では広く浅く理解すれば問題ないと思っています。
テンスとは
テンスとは時制といい、時を表す文法のことです。
英語では、3種類の「過去形・現在形・未来形」という言葉で登場したのを覚えている人は多いと思います。
しかし、日本語では「ル形・タ形」の2種類で表します。
述語の辞書形やマス形はル形と呼ばれ、「〜た」で終わる述語はタ形と呼ばれます。
ル形 →「書く」「書きます」「おいしい」「おいしいです」「雨だ」など
タ形→ 「書いた」「書きました」「おいしかった」「雨だった」「雨でした」など
ル形は、「現在」「未来」を表し、タ形は「過去」を表します。
また、ル形とタ形との対立を「非過去」と「過去」という言葉でいうこともあります。
ここまでで、テンスというものは述語によって変わってくることがわかりました。
簡単な分け方
それでは具体的にどんな述語の時にどうなるのかをみていきましょう。
まずは動詞の場合ですが、こちらは動きの動詞と状態動詞と分けて考えます。
複雑そうに見えますが、例文を作れば全く怖くないです。
動きの動詞
ル形の場合(非過去)
動きの動詞がル形の場合は、「未来」をあわらします。
・コーヒーを飲む(未来)
・レポートを書きます(未来)
もしピンとこなければ、「これから」や「来週」のような言葉をつけ足すと良いでしょう。
「現在」を表すためには、「飲んでいます」「書いています」のように「ている」をつけなければなりません。
・コーヒーを飲んでいる(現在)
・レポートを書いています(現在)
こちらは、「これから」のような言葉を足したら、おかしな文になることがわかりますし、反対に「今」を足すと、自然な文になることからも現在を表していることがわかりますね。
タ形の場合(過去)
動きの動詞がタ形の場合は、「過去」を表します。
・コーヒーを飲んだ。(過去)
・レポートを書きました。(過去)
これは「先週」「昨日」のような過去の言葉をたさなくても過去だということがわかりますね。
状態動詞・形容詞・名詞
次は状態動詞の場合ですが、形容詞(イ形容詞・ナ形容詞)と名詞でも同じなので、一緒に書いておきます。
状態動詞、形容詞、名詞は動きを表さないので、まとめて状態性述語と言います。
ル形の場合
これらがル形の場合は「現在」を表します。
・公園にブランコがあります。
・ケーキがおいしい。
・私は学生です。
タ形の場合
タ形の場合は「過去」を表します。
・公園にブランコがあった。
・ケーキがおいしかった。
・私は学生だった。
特殊なケース
上であげたものが基本的なものですが、例外的な特殊なル形やタ形もあります。
この特殊な場合では、テンスとは関係ない用法です。
特殊なル形(恒常的な表現)
ル形は先ほど、「現在」か「未来」を表すと勉強しましたが、特殊なル形とは、時間、つまり現在や未来など関係なくいつでも同じように成り立つときに使います。
一見すると現在を表しているように見えてしまうので、注意が必要です。
真理、ことわざ、一般的事実、ルールなどが挙げられます。
・太陽は東から登ります。
・急がば回れ。
・1+1=2です。
・すべて国民は個人として尊重される。
特殊なタ形
特殊なタ形はいくつも種類があります。
こちらも例文を考えられるようにしておきましょう。
・ええ、そうだったんですか。(知らなかったことに気がついたとき)
・あっ、今日は高橋さんの誕生日だった。(忘れていたことを思い出したとき)
・「安いよ安いよ!買った、買った!」(すでに実現したと仮定し、相手に促すこと)
まとめ
まとめるとこのようになります。
<テンス>
テンス・・・ル形とタ形
動きの動詞のル形→未来
状態動詞・形容詞・名詞のル形→現在
その他(動き動詞・状態動詞・形容詞・名詞)のタ形→過去
特殊なル形・・・時間に関係なくいつでも
特殊なタ形・・・思い出したり、気づいたとき など
おわりに
「過去」「現在」「未来」の分け方ですが、赤本ではさらに「過去の状態」のようにさらに細かく分けられていますが、まずはしっかり過去・現在・未来の3つに分けられるようにしましょう。
ここまでは複雑そうに見えますが、一回理解してしまえば、それほど大変ではないと思います。
次回はちょっと複雑な絶対テンスと相対テンスのお話をしていきたいと思います。
参考にした本
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