母音の説明と発音の仕方

前回、簡単ですが、母音について触れました。今回はもう少し深くみていきましょう。

僕が留学中の授業の中で印象深い言葉があります。

「母音は感情を運ぶ。」という言葉です。

もちろん、日本語の授業ではなかったため完全に日本語にも当てはまるというわけではありませんが、当てはまる要素もあると思います。

例えば、びっくりした時の「えっ、嘘やん。」の「え」や「お、それいいね。」の「お」、お腹が痛い時の、「あー」や「うー」などです。

そんな興味深い母音についてくわしくみていきましょう。

 

もくじ

母音

母音は、「あ、い、う、え、お」ということでしたが、

もう少し定義っぽく説明しますと、「息を妨害することなく、口の中で響いてできる音」ということです。少し難しくなってしまいました。

例を見てみましょう。

トンネルがあります。あなたは車を運転中でそのトンネルに入ります。

そのトンネルには、あなたの車以外何もなく、あなたはそのトンネルを独占している気分になります。

そしてそのままスムーズにトンネルの出口から出ていきます。

これが母音です。肺(トンネルの入り口)から出口(実際の口)までスーッとつっかえることなく気持ちよく駆け抜けるイメージです。

ちなみに今回は紹介程度ですが、子音は妨害されて出される音なので、トンネルが渋滞してたり、濃霧で、スーッと綺麗に駆け抜けられないイメージです。

邪魔なく出せる音=出しやすい音だと思うので、赤ちゃんが最初に出せるようになりやすかったり、

咄嗟にでる感情や余裕がない時にだせるのが母音の特徴ですね。

母音の出し方はわかりました。

しかし実際に母音は5種類ありましたが、どうやって「あ、い、う、え、お」の違う母音を発音しているのでしょうか。

母音の発音の仕方

答えは、口の中の形や大きさを変えることで音を変えています。

具体的には、次の3つによって、異なる母音を発音しています。

トンネルの形や大きさによって音の響き方が違うのと同じようなものです。

1、舌の上下位置(高さ)

2、舌の前後位置

3、唇の丸め

舌の上下位置(高さ)

口の中にはスペースがあります。

舌が下にある状態より、舌が上顎に向かって上にある状態の方が、そのスペースが狭くなります。

スペースが広いとよく響き、狭いとあまり響きません。

これによって音に違いができます。

学校の教室と体育館で叫ぶと、スペースの広い体育館の方がよく響く感覚です。

説明より実際にやってみた方がわかると思います。

おおげさにいきましょう。

口を大きく開けて、「あー」と一息で言い続けます。その間に舌を上下にパタパタ動かしてみてください。なんか英語のRのような音に変わりませんか。

舌が高い位置で発音される母音は、高母音(狭母音)です。

舌が低い位置で発音されるとと低母音(広母音)、その間なら中母音と言います。

舌の位置がいから母音です。

舌が高い=口の中がいので、母音です。

舌の位置がいから母音です。

舌が低い=口の中がいので母音です。

その間なので、母音です。

「い」と「う」が高母音で、「あ」が低母音、「え」と「お」が中母音です。

舌の前後関係

こちらはいきなりやってみましょう。

同じように口を開けて、「あー」と息の続く限り言います。

次におおげさに、舌を思い切り口から出すくらいに前に突き出しましょう。

すると、「あ」から「え」のような音に変わりませんか。

厳密には仕組みは違いますが、イメージを掴むにはいいと思います。

舌が口の前よりで盛り上がると、前舌母音、後ろ寄りで盛り上がると、後舌母音と言います。

前舌母音は、「い」「え」で、後舌母音は「う」と「お」です。

ちなみに「あ」は真ん中で発音するので、前舌母音でも後舌母音でもありません。

唇の丸め

唇の丸めとは、唇をまっすぐに突き出すかどうかです。

例えば、「あ」の唇と、「お」の唇を比べると、「お」の唇が突き出ていると思います。

この「お」の状態を円唇、「あ」の状態を非円唇と言います。

円は丸のことなので、唇が丸い=円唇、唇が丸くない=非円唇です。

日本語では、「お」が円唇で、「あ、い、う、え」が非円唇です。

地域や個人によっては、「う」を円唇とする人もいますが、一般的には、「う」は非円唇です。

また、「あ」から順にゆっくり「う」を発音すると、円唇になる傾向があるため、ゲームの「UNO(ウノ)」や名前の「上田さん」を自然なスピードで行ってみると非円唇で言ってることが多いと思います。

まとめ

 

母音 舌の上下 舌の前後 唇の丸め
低母音(広母音)   非円唇
高母音(狭母音) 前舌 非円唇
高母音(狭母音) 後舌 非円唇
中母音 前舌 非円唇
中母音 後舌 円唇

 

表にすると上のようになります。表だけ見ると、あーまた暗記しなきゃって気分になっちゃいますよね。

暗記が好きな人はこの表を覚えるのがいいですが、全員が揃ってそういうわけにはいきません。

なので、次のイメージが役に立ちます。すでに勉強が進んでいる人は見たことがあるかもしれません。

まとめると上のようなイメージです。

僕が書いたのものなので、上手なものではありませんがイメージをつかむのに役立てばいいなと思います。

まず口の中に逆三角形が見えますね、これは舌の盛り上がる大体の位置です。

例えば、「い」は、舌の盛り上がりが、前の方で、高い位置にあるとわかります。

だから、「い」は前舌母音で、高母音だということがわかります。

実際に「い」「え」「あ」「お」「う」の順で何度か発音してみると、舌の位置関係がつかめてくると思います。

舌の位置を感じながら言ってみてください ←この作業がめちゃめちゃ大事です!

逆三角形の上の辺に「い」と「う」があります。これは高い位置にあるので、高母音です。

「あ」は一番下にありますね、低いところにあるのでこれが低母音です。

そうなると「え」と「お」は中母音ですね。

また、「あ」を中心とすると、「い」と「え」は「あ」より前にありますから前舌母音

「う」と「お」は「あ」より後ろにありますから、後舌母音となります。

この逆三角形がわかれば、自然に高母音なのか、後舌母音なのかがわかります。

この逆三角形は、何度も発音してみると自然にかけるようにもなりますし、三角を書いて、「い、え、あ、お、う」と書くだけなので、これだけ覚えるというのも手です。

おわりに

母音どうでしたか。

僕は最後の逆三角形は検定試験の音声問題が始まった瞬間に書いていました。

母音の問題は体感毎回出ており、この逆三角形があれば簡単に答えがわかるからです。

ただし、円唇かどうかは三角形からはわからないので、「お」だけ円唇だということは忘れないでください。

暗記すると大変ですが、しっかり自分で舌の位置を確認できるようになれば、暗記は必要ないことがわかりましたでしょうか?

次からは子音を少しずつみていきたいと思います。


参考にした本

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この記事を書いた人

日本語講師として日本語学校に勤めています。日本語教育能力検定試験や日本語教育や現場についていろいろアウトプットしていこうと思っています。

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