今日はIPAについてみていきます。
一度音声を勉強したことがある方は、アルファベットでもないよくわからない記号を見かけたことがあると思います。
「ɲ」「ɸ」「ŋ」などのようなものです。
英語を頑張って勉強した人なら、「θ」「ð」のような記号もみたことがあるかもしれません。
このわけのわからない記号がIPAです。
日本語教育能力検定試験の学習をしている人は、音声の勉強のとき、急にIPAが登場してくるので、混乱させる原因の一つです。
ですから、IPAってどんなものかを知っておくだけで、混乱材料を減らすことができると思います。
今回はそんなIPAについて見ていこうと思います。
IPAは、とても興味深く、外国語に興味を持つ人にとって大きな利益になるのでぜひ楽しんでいってください。
IPAとは
IPAとはInternational Phonetic Alphabetの頭文字をとったものです。
国際音声記号ともいいます。
『国際的な』音声記号というくらいなので、どんな言語でも発音できるようになる記号です。
IPAを知っていれば、理論的には英語だろうが、韓国語だろうが、ロシア語だろうが、正しく発音できるようになるのです。
IPAはどのように便利なのか?
IPAは具体的にどういう感じなのかみていきます。
英語の辞書で、Englishと引いたとしましょう。
Englishの綴りの近くに /ɪŋglɪʃ/ というものを見つかると思います。
この /ɪŋglɪʃ/ がIPAの表記です。
この /ɪŋglɪʃ/ を正しく読むと、ネイティブのようにEnglishと発音ができます。
しかし、IPAを知らない日本人が読もうとすると、エングリッシのように呼んでしまうかもしれません←さすがにこの単語をこう読む人は少ないと思いますが。
では、この英単語はどうでしょう。
「island」という語を見ると、日本人はよく「イスランド」と呼んでしまいます。
しかし、実際は /ɑɪlənd/ となり、日本語で言うなら、「アイランド」となり、綴りからでは読み方まで想像もできません。
他の言語の例を見てみましょう。
韓国語で「英語」という言葉は、「영어」という単語で表されるようです。
韓国語に馴染みのない人には、文字からでは、どう発音してよいか見当もつきません。
そこで、IPAを調べてみます。
「영어」のIPAは /jɔŋɔ/ と書くそうです。
よってIPAが読めれば、この영어はわからなくても、/jɔŋɔ/ 読むことでこの単語を発音できるわけです。
おそらく「よーんごー」のような発音になると思います。
ちなみに、/jɔŋɔ/ は「j」は「You」の「ユ」の発音、「ɔ」は「all」の「オー」の部分、
そして、「ŋ」は「swimming」の最後の「ング」のIPAと同じです。
これらをまとめて、「よーんごー」のような読み方になります。
さて、まとめると単語のIPA表記さえ分かれば、その単語を発音できてしまうのです。
それでは、本題です。
日本語が全くわからない人が日本語を発音しようとしています。
我々は日本人ですから、「あ」や「そ」などの文字を見て、簡単に正しく発音できます。
しかし、日本語の知識がない人は、「あ」や「そ」の文字を見たところで、何と発音するかはまったくわかりません。
なので日本語の知識がなくとも発音ができるようになるIPAを知っておくと、役に立ちます。
つまり、「あ」から「ん」まですべて対応するIPAを知っておくといいでしょう。
「あ」から「ん」まで一般的には、46個、「きゃ」や「ば」なども含めるとさらに多くなります。
それらすべてに対応するIPAがありますから、そんなに覚えないといけないの?となってしまいますが、そんなことはありません。
五十音表を書くときもすべて覚える必要はなく、「あかさたなはまやらわ」をおぼえるだけでよかったりします。
このように規則性もありますし、簡単なものは覚えるまでもありません。
例外的なものだったり、独特なものをしっかり押さえておけば、日本語教育能力検定試験はあまり怖くないと思います。
おわりに
今回はIPAの仕組みについて書いてみました。
たまたま僕は留学中に英語のIPAの基本を学んでいたため、この記事を書くことができました。
母語が日本語の僕たちにとっては、日本語のIPAを勉強する必要はありません。
しかし、教師になって教えるならば話は別です。
学習者によっては、感覚ではなく客観的にどう発音しているか知りたい人もいると思います。
そのため、面倒かもしれませんが、しっかりIPAの表記を知っておいて損はないと思います。
また、ある一つの言語のIPAがわかるようになると、他の言語にも共通している音がたくさんあることに気づけます。
外国語の発音の上達にも繋がると思うので、とても興味深い内容のひとつだと思っています。
今までは、調音点や調音法など具体的にはあまり触れませんでしたが、
次回からはIPAなどと合わせて具体的にみていきたいと思います。
頑張っていきましょう。
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