この記事は前提知識として、調音点、調音法、IPA(国際音声記号)の知識が必要です。
わかりやすく解説しているので、以下の記事を参考にしてみてください。
ラ行
ラ行は「ラリルレロ」すべてまとめて扱います。
ラ行の子音はすべて有声音、調音点は歯茎、そして調音法は弾き音となります。
弾き音は初めての登場ですが、これはラ行だけの特徴ですから、混乱することはないと思います。
弾き音で調音点が歯茎なので、歯茎の位置に舌先を当てます。その舌を一回弾くことで音を出します。試しに何度か「ラララー」と言ってみましょう。
舌先が弾くように動いているのがわかるかと思います。
そうなってくると、有声音、歯茎、破裂音との違いが少し気になるかもしれませんが、結局は口の中に空気が溜まるかどうかの違いです。
大きく息を吸って少し長い間、「あー」と言ってみましょう。その息を吐き続ける一呼吸の間に「タ」と「ラ」をそれぞれ何回か言ってみましょう。「ラ」は息を吐き続けながら言えたと思いますが、「タ」は息を一瞬止めないと言えなかったと思います。
話は戻りまして、ラ行のIPA表記は
[ɾa ɾi ɾɯ ɾe ɾo] です。
今までのようにローマ字でも表記が同じなら良かったんですが、ラ行の子音は残念ながら、少し異なります。一見すると、Rの小文字のように見えますが、違います。拡大してみましょう。
「ɾ」です。 ちなみに 「r」 がRの小文字です。
似ているので気をつけましょう。
ワ行
現在、ワ行は「ワヲン」の3つがあります。しかし、今回扱うのは「ワ」のみになります。
というのは、「を」は「うぉ」と言わないように、音声上「オ」と同じになります。
「ン」はかなり特殊な音になるので今回は扱いません。
その「ワ」の子音は、有声音、調音点は軟口蓋、そして調音法は半母音(接近音)です。
ヤ行に続いて半母音が登場しましたね。「ヤ」の時とは違い調音法は同じですが、こちらは調音点は軟口蓋であることが違いです。
カ行のときと比べると、少し軟口蓋なのが実感しにくいと思いますが、同じ接近音の「ヤ」「ワ」を何回も繰り返していってみると、調音点が前後に変わっているのがわかるかなと思います。
IPA表記は、ヤ行もローマ字のようにいきませんでしたが、ワもローマ字のように「wa」になりません。ワは [ɰa] です。
小文字の「w」が丸くなり、一番右に棒が下に突き出ていますね。
ヤ行とワの調音点と母音の関係
突然ですが、なぜヤ行とワの調音点がわかりにくいのでしょうか。
ヤ行の調音点は硬口蓋で、ワの調音点は軟口蓋でした。
正直な話、硬口蓋や軟口蓋って実際発音してもどこだかわかりにくいと思います。
カ行、ガ行も軟口蓋でしたが、破裂音のお陰でわかりやすくはあると思います。
この三角形の図を覚えていますか。母音の勉強をした時に使いました。そこでは触れませんでしたが、イとウは高母音なので、高い位置に舌が盛り上がり、音を出していました。
その舌がどこで盛り上がるかが非常に大切になります。
イは前舌母音で、ウは後舌母音でした。
そして実は前舌母音とは中舌面が硬口蓋に、後舌母音とは後舌面が軟口蓋に盛り上がることなんです。
簡単にいうと、「イ」は硬口蓋へ舌が盛り上がり、「ウ」は軟口蓋へ舌が盛り上がっていたのです。
このことが頭に入っていれば次のことがわかります。
半母音は、母音が子音のような働きをすることだったので、ヤはイアと何回も繰り返すとヤになり、ウとアを何回も繰り返すとワの音になります。
そのため、連続する母音の初めの母音である、イとウに影響されて「ヤ」と「ワ」の調音点がそれぞれ硬口蓋、軟口蓋になるのです。
丁寧に言うと、「ヤ」と言うとき、一瞬「イ」そして流れるように「ア」と言いますが、半母音なので、「イ」が子音の役割をします。その「イ」は舌が硬口蓋で盛り上がるため、それによって「ヤ」の調音点が硬口蓋になると言うことです。「ワ」も同様に考えます。
ちなみにこのイとウ発音する時、それぞれ舌の盛り上がりの位置は大切なので是非押さえておきましょう。あとで、口蓋化や中舌母音化というものを扱いますが、その時に大切です。
まとめ
おわりに
ヤ行とワの仕組みを説明してみました。
難しいですが、でも理解できれば、暗記に頼る必要もなく、脳の負担の節約ができます。
もちろん小難しいことが苦手な方は暗記をするのも手ですが、年一度しか実施されない検定に0か100のギャンブルはなかなか勇気がいります。理解をしておけば、自分で答えは導けるので、個人的にオススメです。
今日までに制覇した文字たちです。あともう2歩くらいのところまで来ています。
頑張っていきましょう!
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