これまでは、調音点、調音法、IPAなどを勉強しましたが、今回からは、それらを実際の五十音と結びつけて見ていきたいと思います。
ここからいままでの知識が一気にまとまっていきますので、頭も使いつつ、実際に声に出して言ってみることで、体に覚えてもらうと言うことも大事になってきます。
ア行
ア行は母音のため、調音点、調音法は必要ありません。
舌の高さや、前後位置、唇の丸めがポイントでしたね
IPAは「あ」が[a]、「い」が[i]、「う」が[ɯ]、「え」が[e]、「お」は[o]となります。
「う」が少し特殊ですね。「う」は[u]と書きたいと思いますが、[ɯ]を使います。しかし、それ以外はローマ字読みと同じです。
例えば、[aoiie]とあれば、「あおいいえ」と発音できるわけです。
ちなみに、[u]は、円唇の音なので、唇を思いっきり突き出して「う」と言うとこの[u]の音になります。しかし、日本語では「う」は非円唇なので、[u] ではなく[ɯ]と書きます。
英語圏の方が、お寿司屋さんでウニを食べる時、「ウーニ」のように聞こえたこたはありませんか、この時の口はこの唇を丸めた[u]の発音で言っています。だから日本人はこの言い方に少し違和感を覚えるのだと思います。
繰り返しますが、日本語では[ɯ]を使います!
カ行・ガ行
ここからは子音になりますので、調音点、調音法にも注意してみていきましょう。ここからは復習も入るので実際に音を出し、口の中の感覚を大いに使って確認すると良いでしょう。
カ行の子音である「k」は、無声音で、調音点は軟口蓋、調音法は破裂音です。IPAも[k]です。
カ行の音を言う時、図のように調音店は軟口蓋ですので、何か口の後ろの方で音が出ているなと感じてください。
破裂音なので、一旦図のように空気が外に出られないように封鎖し、溜まった空気を一気に解放する感覚を感じてください。図の中の丸で囲った部分で封鎖しています。
ガ行については、「k」が無声音だったのに対し、ガ行の子音「ɡ」は有声音です。調音点、調音法は、カ行と同じです。
[ka]と[ɡa]などを交互に繰り返し言うことで、調音点や調音法の感覚を掴みましょう。
IPAでカ行、ガ行を書くと、
[ka ki kɯ ke ko][ɡa ɡi ɡɯ ɡe ɡo]となります
それでは、正式な表記の仕方かどうかはわかりませんが、簡単なクイズをしてみましょう。下にIPAをかくのでどう発音するか当ててみてください。ヒントはどう区切れるかを考えてみてください。答えは最後に書きます。
問題1[ɡakeoikoɯka]
問題2[akaikaɡiokaɯ]
おわりに
今回からは、今までの知識を実際の五十音の音に対応させて丁寧にみていきます。
なので、ペースもゆっくりになると思います。
ですがここからが一番大事であり、ややこしいところになりますが、しっかり理解を進めていけば、難しくはないのかなと思っています。
音声は難しくないんだ楽しいんだと言うことを伝えられれば、嬉しいです。
上の表は五十音表ですが、黄色で塗りつぶしたところが今回制覇した音です。
✳︎ 答え
問題1 がけおいこうか
「崖を行こうか」の意。表記は「を」ですが、音声では「お」と言うことが注意点でしょうか。「行こうか」の「う」も本当は「お」を伸ばした音になるのですが、ここでは「う」とします。
問題2 あかいかぎおかう
「赤い鍵を買う」の意。注意点も上記の通りです。
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