五十音と音声②

今回は、サ行とザ行、タ行とダ行もみていきたいと思います。

しかしそのいくつかの文字は今回は扱いません。それは例外的なものであるためで、例外がたくさん登場すると、頭が混乱し、拒絶反応を引き起こしてしまうからです。

早速みていきましょう!

タ行とダ行

まず、順番が逆転しますが、タ行からです。今回は、「タテト」の3つを扱います。「チ」と「ツ」は例外的なので今回は扱いません。

この「タテト」の子音部分は無声音で、調音点は歯茎、調音法は破裂音になります。

破裂音なので、空気を一旦口の中に溜めて、一気に解放する必要があります。「タテト」と「ダデド」は口の中に空気を溜めるために歯茎に舌先をくっつけて閉鎖を作ります。鼻から空気が漏れないように歯茎の他にも口の奥で封鎖していることも注意です。

「ダデド」の子音部分は有声音になりますが、調音点、調音法は変わりせん。

「タテト」と「ダデド」のIPAはそれぞれ

[ta te to][da de do] となります。

「タテト」の子音は t 、「ダデド」の子音は d 、とローマ字通りでわかりやすいですね。

サ行とザ行

サ行は「サスセソ」の4つを扱います。

サ行の子音は無声音です。そして調音法は摩擦音です。そして少し意外なんですが、調音点は歯茎になります。

口を閉じ、歯をくっつけて息を「スゥー」と吐いてみると舌先に息を感じ、歯茎である歯の裏に近づいていることがわかりやすいと思います。

上の図を見ると、舌の先が少し盛り上がっていて、その延長線上に歯茎があります。空気の通り道が狭いので、擦れたような、摩擦音が出るわけです。

ザ行は、有声音に変わるだけで音の出し方はは同じです。サ行と同様に、調音法は摩擦音、調音点は歯茎です。

イ段を除くサ行とザ行をIPAで表すと、

[sa sɯ se so][za zɯ ze zo]

これも、ローマ字で書くときに、サ行にはsを、ザ行にはzを使うのと同じなのでわかりやすいです。そのsとzを母音a、ɯ、e、oと組み合わせただけです

が・・・

気をつけましょう。ザ行は少し特殊なんです。なぜなら我々は、「ざ」は「ざ」としか発音しません。しかし実は、我々ネイティブは、2種類の「ざ」を使い分けています

つまり、どういうことかと言いますと、先ほど扱った「ザ、ズ、ゼ、ゾ」には二種類の発音の仕方があり、我々は無意識的に使い分けているということなんです。

す、すごいですね!

なので、上で扱った[za zɯ ze zo]は発音の1種類目です。ということはもう一通りの発音があることになります。

それはこのようになります。

[dza dzɯ dze dzo] となります。

「ザズゼゾ」の子音はz とdz の2種類です。[za]でも[dza]でも「ザ」と読めるわけです。

ですが皆さん気持ち的にはz だけでいいじゃん。なんでdz の方まで覚えなきゃいけないの。どうやって使い分けるのなどと思われるかもしれませんがしっかり説明しますから安心してください!

まずここでどうしてタ行、ダ行を先に扱ったかが明らかになります。さて、zは、1種類目の調音法が摩擦音ということでした。そして最初にダ行のところで、d は破裂音ということもみました。

あれ?・・・???

「ザズゼゾ」の子音はz とdzの2種類・・・dzはdとzに分けられる。あれ?dは破裂音で、zは摩擦音でその2つが一緒になってる・・・。あ、そういえば調音法の勉強の時に、破裂音と摩擦音の両方の性質を持っているのがありましたね。

そうです。破擦音です。zは摩擦音で、

dzはd (破裂音)とz (摩擦音)の組み合わせで破擦音です

摩擦音破擦音なので、ほとんど音は変わりません。違いはほんの一瞬閉鎖を作るかどうかです。閉鎖を作るのが破擦音、作らないのが摩擦音です。具体例を見ていきましょう。実際に発音して違いを確認すると楽しいと思います。

「ジンベイザメ」「王座」「銀座」「ピザ」「ザビエル」「ざわざわ」

「ザンザッザーイザ」

上にいくつか言葉を並べました(最後のは僕が適当に作りました)。それぞれの言葉に「ザ」が、1回以上使われています。摩擦音か破擦音どちらだと思いますか。

答えは・・・

「ジンベイザメ」・・・摩擦。 

「王座」・・・摩擦。 

「銀座」・・・破擦。 

「ピザ」・・・摩擦。 

「ザビエル」・・・破擦。 

「ざわざわ」・・・初めの「ざ」は破擦、2回目の「ざ」は摩擦。 

「ザンザッザーイザ」・・・1・2・3回目の「ざ」は破擦音、最後の「ざ」は摩擦です。

法則は、語頭や「ン」と「ッ」のあとは破擦音、語中だと摩擦音になります

ジンベイザメ、王座、ピザは語中にあるので摩擦、銀座は「ン」の直後、ザビエルは語頭なので、破擦音です。

そして、「ざわざわ」は1つ目が語頭、2つ目が語中にあり、「ザンザッザーイザ」は順に、語頭、「ン」の後、「ッ」の後、語中にあるので上の答えのようになります。

まとめ(全部大事!!)

・「タテト」は無声音、調音点は歯茎、調音法は破裂音。[t]

・「ダデド」は有声音、調音点は歯茎、調音点は破裂音。[d]

・「サスセソ」は無声音、調音点は歯茎、調音法は摩擦音。[s]

・「ザズゼゾ」は有声音、調音点は歯茎、調音法は摩擦音と破擦音。

ただし、「ザズゼゾ」が語頭か「ン」や「ッ」の後のとき破擦音[dz]

    「ザズゼゾ」が上記以外なら摩擦音[z]

おわりに

すこし長くなってしまいましたが、サザ行とタダ行の一部をみてきました。

ザ行は少しややこしかったですが、z とdz の2つあると分かれば、複雑でもないですし、何より、dもzもアルファベットで馴染みがあるのでとっつきやすいと思います。

徐々にIPAの仕組みがわかってくると、学習者がどうして誤った発音をしてしまうかや、語学の勉強にも役に立ちます。日本語でしか発音されない音を知っておけば、その音を使わないようにすることで勉強する言語の発音に気をつけられます。

今までと今回で制覇した文字たちです。

まだまだ残っていますね。

一歩ずつ確実にいきましょう!

 

 

猪塚恵美子・猪塚元著(2018)『日本語の音声入門 解説と演習 全面改訂版』バベルプレス
ヒューマンアカデミー著(2018)『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版4刷』SHOEISHA
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